Page 2 / 2 1ページ目から読む

Koongの選曲

Plastic Plastic “ฤดูกาล (Seasons)”
(2024年)

〈幸せな時は笑顔で〉と優しく思い出させてくれる曲

Plastic Plasticは長年、私のお気に入りのタイのバンドの一つです。彼らの音楽には静かな魅力と柔らかいメロディがあり、シンプルでありながらも美しく、表現力豊かな歌詞が組み合わされています。曲が複雑になっていかないところが、ずっと好きだったんです。彼らは自分の言いたいことをそのまま表現し、その誠実さが彼らの音楽にほかにはない温かさを与えています。長年にわたって、私は彼らのサウンドとともに成長してきたように感じているんですよね。リリースごとに人生の様々な章が反映されているように感じられ、時を経るごとによりミニマルで、より洗練され、そしてより深く深くなっていくんです。

初めて聴いたときから心に残った曲の一つは、“ฤดูกาล”(〈四季〈の意味)です。この曲は近年、ますます難しくなっている〈今ここにいること〉について歌っています。責任、期待、思い出、そして未来の不確かさといった多くの不安を抱えるなかで、私たちは自分が今どこにいるのかを忘れてしまいがちです。この曲は、解決策を提示しようとしているわけではありません。ただ私たちに、ゆっくりとペースを落とそう、と優しく思い出させてくれるのです。

特に心に響いたのは、〈สุขใจก็ยิ้มออกมา〉(幸せなら、ただ笑えばいい)というラインです。

シンプルに聞こえますが、年を重ねるにつれて自分の本当の気持ちを表現することさえ難しくなっていきます。嬉しいときに笑ったり、悲しいときに泣いたりする、そういった自然なことが、必ずしも容易ではなくなるのです。

A song that gently reminds us to “smile when you’re happy”

Plastic Plastic has long been one of my favorite Thai bands. Their music carries a quiet charm and soft melodies paired with lyrics that are simple yet beautifully expressive. I’ve always loved how their songs don’t try to be complicated. They say what they mean, and that honesty gives their music a kind of warmth that’s hard to find. Over the years, I’ve felt like I’ve grown up alongside their sound. Each release seems to reflect a different chapter of life, becoming more minimal, more refined, and somehow more profound with time.

One of the songs that stayed with me from the first listen is “ฤดูกาล” (which means “Seasons”). It talks about being present, which feels harder and harder these days. With so much to worry about responsibilities, expectations, memories, and the uncertainty of the future, we often forget to pay attention to where we are right now. This song doesn’t try to offer a solution. It just gently reminds us to slow down.

One line that struck me deeply is “สุขใจก็ยิ้มออกมา” (If you’re happy, just smile.)
It sounds simple, but as we grow older, even expressing how we truly feel becomes difficult. Smiling when you’re happy or crying when you’re sad, these natural things aren’t always easy anymore.

 

Moderndog “วันนี้เมื่อปีก่อน (Today, Last Year)”
(2015年作『Pod Pong May-T
』収録曲)

〈これも過ぎ去っていく〉ということを思い出させてくれる曲

“Today, Last Year”は、タイの伝説的インディバンドModerndogの曲です。2015年にリリースされたので、もう10年近くが経ちます。初めて聴いた時は、意味を完全には理解していませんでしたが、とても気に入ったのを覚えています。そして数年前、まるで適切な瞬間を待っていたかのように、この曲は静かに戻ってきました。私がようやくこの曲をちがった角度から聴く準備ができたときです。

心に残っているラインは、〈ในวันที่ลมยังพัดจากเมื่อวาน〉(昨日からの風がまだ吹いている日には)です。

この歌詞は、過去が今もなお私たちのなかに残り、記憶や痛みが私たちのなかに静かに刻み込まれ、私たちの感情を形作っていく様子を物語っています。昨日のことを完全には忘れ去られないような日もありますよね。

この曲は、できることはすべてやり尽くしたけれど、もう時間だけが癒してくれるしかない、という思いを捉えています。かつては耐えられないと感じていた痛みも、いつの間にか薄れていくことがあります。この曲を聴くたびに、去年の今頃、自分がいた場所を振り返るんです。消えてしまったものもあれば、残っているものもあり、そして単に慣れてしまったものもあります。

この曲は、人生のあらゆる場面において私へさまざまな形で語りかけてきます。しばらくの間、また私から離れるかもしれませんし、もし戻ってきたら、今よりもさらに理解できるようになるかもしれません。

A song that reminds me that “this too shall pass”

Today, Last Year is a song by Moderndog, one of Thailand’s legendary indie bands. Released in 2015, it’s been nearly a decade. I remember liking it when I first heard it, though I didn’t fully understand what it meant. Then a few years ago, it quietly returned, like it had been waiting for the right moment, when I was finally ready to hear it differently.

One line that stays with me is “ในวันที่ลมยังพัดจากเมื่อวาน” (On days when the wind still blows from yesterday.)

It speaks to how the past still lingers in the present how memories or pain can stay with us, quietly shaping how we feel. Some days feel like yesterday hasn’t quite let go.

This song captures the feeling of having done all you can, when there’s nothing left but to let time do the healing. Some pain that once felt impossible to bear fades without you realizing. Every time I hear this song, I reflect on where I was this time last year. Some things are gone, others remain, and some I’ve simply grown used to.

This song speaks to me differently in every season of life. I know it will leave me again for a while and when it returns, I might understand it even more than I do now.

 

最後にクラファンのお知らせ

(TT) pressは、Koongさんのグラフィックノベル「Pointillism」の日本語版出版を目指すクラウドファンディングプロジェクトを実施中です。

この秋、(TT) pressから、バンコク発の〈ボーイ&ボーイ〉グラフィックノベル「Pointillism」の日本語版を出版します。英語版は私たちの本屋〈platform3〉でも販売し、多くの方に手に取っていただきました。大好評だった一方で、「英語なので読めない」という声も少なくありませんでした。より多くの方にこの作品を楽しんでもらいたいという思いから、日本語版の制作を決意しました。

仲良しカップル・DanとKraamのささやかな日常を読んだあとは、〈ふたりでいるって、こんなにも普通で、特別だ。〉とあたたかい気持ちになるはず。

クラウドファンディングでは、支援者限定の特典(限定グッズの販売や、Koongさんがあなたの似顔絵を描いてくれるリワード)もご用意しています。応援よろしくお願いいたします!

詳しくは、以下のURLをご覧ください:https://motion-gallery.net/projects/pointillism

 


INFORMATION
バンコク発の〈ボーイ&ボーイ〉グラフィックノベル「Pointilism」を日本語で書籍化したい!

このプロジェクトは、バンコクのコミックアーティスト・Koongさんの作品を日本語で出版するためのものです。私たちが大好きな、仲良しカップルの〈ふつうで特別な日常〉を、日本の読者の皆さんにも届けたいと考えています。
クラウドファンディングページ:https://motion-gallery.net/projects/pointillism

 


PROFILE: ともまつりか
岐阜県出身、東京都在住。写真家・映像作家。出版ユニット〈(TT) press〉のメンバーとしても活動しており、2024年8月にクィア書店〈loneliness books〉と共同で本と人が集まる場所〈platform3〉を東中野にオープン。
Instagram:https://www.instagram.com/tmomat/
WEB:https://rikatomomatsu.com/

PROFILE: Koong
タイ・バンコク在住のイラストレーター・コミックアーティスト。DanとKraamのカップルの日常を描いたウェブトゥーンを連載しており、50話を収録したグラフィックノベル「Pointillism Vol. 1」を2024年に出版した。
Instagram:https://www.instagram.com/koong.bg/