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苦悩を隠さず、歪な規範に抵抗する姿
ニュージーランドのアーティスト、ロードが2021年に発表した『Solar Power』は賛否両論を呼んだ。従来のエレクトロニックなサウンドから離れ、サイケデリックやフォークの要素が目立つ曲群を聴いた者たちの多くは戸惑った。そのことに対し、彼女はファン向けのニュースレター内で〈苦悩した〉と告白している。
そんな『Solar Power』に続く新作が『Virgin』だ。本作は初期のロードを想起させる音が多い。ジム・E・スタックと共同制作した曲群は電子音で占められている。“What Was That”などアンセミックなメロディーを随所で紡ぎ、牧歌的で落ちついた雰囲気が濃かった前作とはだいぶ異なる。
歌詞は、徹底的に内観した末に生まれた言葉が際立つ。性同一性がテーマの“Hammer”では自身が考える女/男らしさを歌い、“Broken Glass”は拒食障害だったときの自分を描いている。そこには性別や体型で特定のイメージに嵌められることへの嫌悪が滲む。
本作は、セレブ文化など現代社会が生んだ事象への疑問を訴えてきた過去作と通底する内容だ。デビューから15年近く経ったいまも、ロードは歪な規範への抵抗を続けている。 *近藤真弥