Mr.Childrenが新曲“Again”を配信リリースした。同楽曲は、TBS系で現在放送中の日曜劇場「リブート」の主題歌として書き下ろされたナンバーで、2026年3月25日(水)発売のニューアルバム『産声』の先行シングルでもある。2024年の“in the pocket”以来、約1年5カ月ぶりに届けられたMr.Childrenの新たな音楽を、サウンドや曲構成などに注目しながらレビューしていく。 *Mikiki編集部


 

Mr.Childrenを支える1人のプレイヤーに徹した小林武史

ここ数年のMr.Childrenの作品に触れていると〈枯れ〉という言葉がたびたび脳裏をよぎる。勘違いしないでほしいのは、彼らの存在や才能が枯れていっているという意味では決してない。これまでも人の生死をテーマに作品を生み出してきたMr.Childrenだが、コロナ禍以降は自分たち自身がそのテーマの当事者であることを自覚したような楽曲が多い気がするのだ。メンバー全員が50代後半に突入したMr.Childrenの音楽が、何かこれまで以上に切実に響く――彼らと共に人生を過ごしてきたリスナーほど、そう感じているのではないだろうか。

日曜劇場「リブート」の主題歌である“Again”も、そうした近年のMr.Children作品の延長線上にある楽曲だと思う。ドラマのストーリー自体を直接落とし込むのではなく、自問自答を繰り返しながら日々必死に生きていく、そんな人間の普遍的な姿勢が生々しく描かれている曲だ。

“Again”のレコーディングには小林武史(ピアノ)のほか、山本拓夫(サックス)、四家卯大(チェロ)らが参加しているが、やはり気になるのは小林の存在だろう。なお、“Again”はバンドのセルフプロデュース作で、小林はあくまでプレイヤーの1人に徹しているようだ(ピアノアレンジはおそらく小林によるもの)。

ここでMr.Childrenと小林の関係値についていちいち説明する必要はないと思うが、今回両者がレコーディングを共にしたのは2022年の“永遠”以来とのこと。それ以前の共同作業はアルバム『REFLECTION』(2015年)まで遡ることを考えれば、この10年は両者が一定の距離を保った関係だったというわけだ。

そうした過程を踏まえた上で“Again”を聴くと、様々な背景が見えてくる。楽曲全体のサウンドプロダクションやアンサンブルは小林のもとを離れて一から作り上げたMr.Children 4人によるものが踏襲されているが、イントロや大サビへと向かうパートで聴こえるドラマチックなピアノのメロディはまさしく小林が紡ぎ出したもの。小林がプロデュースにも携わった“永遠”は大衆がイメージする旧来の〈ミスチルサウンド〉に近い楽曲だったのに対し、“Again”はあくまで〈現在のMr.Childrenと小林武史のサウンド〉に仕上がっている点が新鮮で、そこには両者の良好な関係性を感じ取ることができる。

 

稀な曲構成、作品の世界に引きずり込むリフレイン

また、“Again”はMr.Childrenとしては珍しい曲構成であることにも注目したい。前奏→Aメロ→Bメロと続いたのち、再びAメロ→Bメロ、そこからサビを挟んで間奏→Bメロ→Bメロ→大サビへと向かう流れは、バンドがこれまでほとんどトライしてこなかった構成と言えるだろう。サビまでの助走が長いため、そこで得られる高揚感や解放感は格別だ。こうしたサビまでのタメを十分に作った構成の曲は、直近ではOfficial髭男dism“ホワイトノイズ”あたりが思い浮かぶ。

歌詞にも少し目を向けてみたい。〈また〉〈もう一度〉を意味するタイトルのとおり、フレーズをリフレインする場面が随所に登場するのだが、〈すり減らすだけ/心をすり減らすだけ〉〈ぶち壊すだけ/他意もなく繰り返すだけ〉〈虚しくなるだけ/自分が虚しくなるだけ〉と、フレーズを繰り返す際には具体性を持たせた言葉が添えられている。いずれもネガティブなムードを孕んだフレーズなのに、それを強調することでリスナーを作品の世界に深く引きずり込むような効果が生まれているのも確かだ。そして曲の最後にはしっかりと優しい光を灯すあたりが、何とも桜井和寿らしい。

“Again”は、これまで一定の距離を保っていたMr.Childrenと小林武史が新たな関係を築いた作品であり、次のアルバム『産声』へと繋がる第一声でもある。冒頭で〈枯れ〉という言葉を出したが、そもそも〈枯れる〉には長年使用した技術や製品が安定・成熟した状態になる、という意味もある。人は歳を重ね、様々な出会いと別れを繰り返すことで生物として成熟していく。長い旅路を経て再び出会ったMr.Childrenの4人と小林による成熟した作品は、もしかしたら“Again”以外も『産声』のなかに収められているかもしれない。

 


RELEASE INFORMATION

Mr.Children 『産声』 トイズファクトリー(2026)

リリース日:2026年3月25日(水)

■初回生産限定盤
品番:TFCC-81200
価格:3,850円(税込)
スペシャルパッケージ/40P PHOTO & 歌詞ブックレット付き/CD 1枚

■通常盤
品番:TFCC-81201
価格:3,300円(税込)
PHOTO & 歌詞付き/CD 1枚

TRACKLIST
1. キングスネークの憂鬱
2. Again
3. Saturday
4. ウスバカゲロウ
5. Glastonbury
6. 禁断の実
7. 平熱
8. 空也上人
9. Stupid hero
10. Nowhere Man 〜喝采が聞こえる
11. 産声
12. Umbrella
13. 家族

All Tracks Written by Kazutoshi Sakurai
Produced by Mr.Children

■ショップ先着ご購入特典
タワーレコード予約・購入特典(先着):『産声』クリアポーチ
2026年3月25日(水)発売のニューアルバム『産声』をタワーレコード(オンライン含む/一部店舗除く)で予約・購入された方に先着でオリジナル特典をプレゼント!
※先着特典となり、なくなり次第終了となります。お早めのご予約をお願いいたします
※一部のCDショップ/オンラインショップでは特典が付かない場合もございますので予約・購入時に必ずご確認ください
詳細ページ:https://tower.jp/article/feature_item/2025/12/19/0701

Mr.Children『産声』特設サイト:https://www.toysfactory.co.jp/artist/mrchildren/20260325/

 

LIVE INFORMATION
Mr.Children Tour 2026
2026年4月4日(土)千葉・ららアリーナ 東京ベイ
2026年4月5日(日)千葉・ららアリーナ 東京ベイ
2026年4月11日(土)神奈川・横浜アリーナ
2026年4月12日(日)神奈川・横浜アリーナ
2026年4月25日(土)愛知・日本ガイシホール
2026年4月26日(日)愛知・日本ガイシホール
2026年5月9日(土)宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
2026年5月10日(日)宮城・宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
2026年5月16日(土)福岡・マリンメッセ福岡 A館
2026年5月17日(日)福岡・マリンメッセ福岡 A館
2026年5月30日(土)大阪・大阪城ホール
2026年5月31日(日)大阪・大阪城ホール
2026年6月13日(土)香川・あなぶきアリーナ香川
2026年6月14日(日)香川・あなぶきアリーナ香川
2026年6月20日(土)神奈川・ぴあアリーナMM
2026年6月21日(日)神奈川・ぴあアリーナMM
2026年6月27日(土)北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2026年6月28日(日)北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
2026年10月3日(土)福井・サンドーム福井
2026年10月4日(日)福井・サンドーム福井
2026年10月24日(土)静岡・静岡エコパアリーナ
2026年10月25日(日)静岡・静岡エコパアリーナ
2026年10月31日(土)東京・有明アリーナ
2026年11月1日(日)東京・有明アリーナ
2026年11月14日(土)佐賀・SAGAアリーナ
2026年11月15日(日)佐賀・SAGAアリーナ
2026年11月21日(土)広島・広島グリーンアリーナ
2026年11月22日(日)広島・広島グリーンアリーナ

ツアー特設サイト:http://tour.mrchildren.jp ※PC・MOBILE共通