成熟したロマンティシズム
そんな仕事ぶりに注目していたブルーノがDマイルと出会ったのは、共通の知り合いだったジェイムズ・フォントルロイを介して。そのジェイムズが参加した『24K Magic』でR&Bに軸足を移したブルーノが本格的にR&Bを歌うシンガーとして歩んでいくためのレールを整備したのがDマイルだったと言っていい。ふたりは、シルク・ソニックの前にチャーリー・ウィルソン“Forever Valentine”や嵐“Whenever You Call”を共同でプロデュース。チャーリーの曲には『24K Magic』などに貢献したステレオタイプスも関わっており、カーディ・Bとの“Please Me”やセクシー・レッドとの“Fat Juicy & Wet”に手を貸した彼らもブルーノをR&B/ヒップホップ側に引き寄せたチームだった。もちろん、スミージングトンズの一員として初期の作品から貢献しているフィリップ・ローレンスや、彼を含む『24K Magic』の制作チーム=シャンプー・プレス&カールにも名を連ねたベース奏者のブロディ・ブラウンも重要なブレーンだ。
新作の先行曲“I Just Might”はブルーノとDマイルの共同制作で、ソングライティングにはフィリップ・ローレンスとブロディ・ブラウンのふたりも参加。このクレジットからも『24K Magic』やシルク・ソニックの流れを汲む形で制作されたことが想像できる。演奏は、過日の第68回グラミー賞で“I Just Might”を披露した際にもブルーノとステージに立った仲間たち。トロンボーンのキャメロン・ウェイラム、トランペットのジミー・キング、サックスのドウェイン・ダガー、ベースのジャマレオ・アーティス、鍵盤のジョン・フォシット、そしてパーカッションを担当した兄のエリック・ヘルナンデスなど、これまでフーリガンズとしてブルーノを支えてきた面々だ。彼らはジェイムズ・ブラウンにとってのJB’s的な存在として人力のグルーヴを生む。
スタイリスティックスのスウィート・ソウルを模したようなシルク・ソニックの“Leave The Door Open”をはじめ、ラッキー・デイの“That’s You“、レディ・ガガとの“Die With A Smile”など、ブルーノがDマイルと組みはじめてからの曲には、初期の作品以上にソウル〜オールディーズ的なスケールの大きさとロマンティシズムが顕著に現れるようになった。こうしたマチュアなアプローチは昨年で不惑を迎えたブルーノが年齢と共に音楽的に成熟してきた証とも言えるが、この流れで新作のタイトルが『The Romantic』となったのも興味深い。