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長年の思い出とともにある曲も収録

――基本的に若い世代のアーティストやここ数年に発表された楽曲が中心ですが、そこにadvantage Lucyや空気公団の楽曲を差し込んでくるところが瀧口さんらしいですね。

「このシリーズはレーベルの縛りが比較的少なく、さらに時代に関しても特に制限がないので、自分が本当にいいと思う曲を入れているんです。advantage Lucyも空気公団も20年以上前から聴いてきた大好きなアーティストですし、こうやって紹介する機会があればなと思っていました。

advantage Lucyは彼らの中でも珍しくマイナーな感じの曲を選んでいるので、ボーカルのアイコちゃんは〈なんでこの曲を選んだのだろう?〉と不思議だったみたいですけど(笑)」

――でも、新しい楽曲に混じって、彼らの少し古い楽曲が混じっているのが、いいスパイスになっています。

「最近のインディポップには、もちろん良い曲がいっぱいあるんですけど、せっかく僕が選曲するんだったら、ちょっと懐かしさみたいなのも入っていた方がいいのかなと思ったので、敢えてそういう楽曲もいくつか選んでいます」

――こういった昔の曲と最近の曲を選ぶ感覚って違うものですか。

「やっぱり古い曲には思い出が付いてきますよね。オフラインで体験した風景や当時の生活まで一緒に思い出すんですよ。だから、過去の曲でも良い曲だったら、どんどん選んでいきたいと思っています。

でも最近の曲はもっと純粋で、まずは聴いた瞬間に良いかどうかで判断している気がしますね。大石晴子さんなんかは、実は昔からすごく気に入っていて、いつか選曲したいなとずっと思っていましたから」

 

時間が経っても残るクオリティとオリジナリティを重視

――新しいアーティストはどのように見つけているのでしょう。

「今はサブスクで聴いているときに、関連アーティスト機能から発見することも多いですね。〈これが好きならこっちも好きでしょ〉という提案から入ることは結構あります。今回も選んでいく中で初めて知ったアーティストが何人もいました。宇宙まおさんやMARTERさんは、今まで聴いたことがなかったのですが、選曲する中で発見してとても気に入りました。

あとは、知人の紹介も含めて知り合いも多いですね。高城晶平さん(Shohei Takagi Parallela Botanica)やNEMNEさんなどもそうだし、全体の3分の2くらいはつながっているかな」

――現在の若手の音楽シーンについてはどう感じていますか。

「今はアプリとか生成AIなんかを使って誰でも曲を作れる時代になりましたよね。だからこそ僕は〈クオリティ〉を重視したいんです。曲そのものが良くても演奏や録音の完成度が足りないケースもありますし、シティポップ風の表面的な模倣だけで終わってしまう作品もたくさんあります。ギターのチューニングが怪しくても平気でアップされているのもある(笑)。でもCDとして残す以上は、一過性ではなく何年後も聴ける強度が必要だと思っていますし、そういった基準で楽曲も選んでいます」

――今回収録された17組に何か共通点があるとすればどういうものでしょうか。

「やはり、オリジナリティですね。このシリーズでは基本的にオリジナル曲を重視しています。その人にしか作れない楽曲であることが大切だと思うんです。とりあえずシティポップ風にしてみようとか、流行のフォーマットをなぞるだけでは、時間が経った時に残らない。竹内まりやさんの“プラスティック・ラブ”みたいなコード進行やサウンドの曲はいっぱいありますけれど、果たして5年、10年経っても聴けるのかなと思いますから」

――こういった新しいアーティストに触れることで、RYUSENKEIなどのご自身の音楽制作にも影響はありますか。

「RYUSENKEIに関しては意外とないんですよ。ボーカルにSincereが入って新しい編成になったとはいえ、僕がやりたいことは昔からまったく変わっていないので(笑)。ただ、ナツ・サマーなど他のアーティストのプロデュースでは、〈こういうアレンジは面白いな、やってみようかな〉と参考にすることはあります」