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若手の新しい感覚や発信力、行動力に驚き

――瀧口さんはシティポップリバイバルの渦中にいらっしゃったと思いますが、新しいアーティストの登場も含めてどのように捉えているんですか。

「シティポップは、ジャンルというより〈現象〉だと思っています。今みたいにブームになるまでは、〈シティポップとはAORやジャズ、ソウルの影響を受けた都会的なポップス〉というような共通認識があったじゃないですか。でも今は、従来その範疇に入っていなかったアイドルポップス、例えばWinkのユーロビートみたいな曲もシティポップと呼ばれることもあれば、Suchmos以降にたくさん出てきたネオソウル系アーティストもその文脈で語られている。そうなると、すでに音楽的な定義だけでは説明できないですよね。海外で高中正義さんとか杏里さんがウケている、みたいなことも含めて、あくまでも〈現象〉だと認識しています」

――『CITY MUSIC TOKYO』では、〈シティポップ〉ではなく〈シティミュージック〉を掲げています。

「僕は昔からシティポップではなく、シティミュージックという言葉を使っています。東京に限定しなくても、都市的な感覚や風景を感じる音楽なら含まれると思っています。だから、シティポップという言葉に縛られずに選曲できるんですよ」

――今回の収録曲を聴くと、若い才能の豊かさを感じます。

「本当にそうですね。渡邉瑠菜さんの“手垢”やSara Wakuiさんの“howa”みたいな楽曲を聴くと、若いアーティストたちの感覚的に新しいことをやってしまう力に驚かされます。彼らの世代はSNSなどを使った発信力もありますし、自分の音楽をしっかり届けようとしている。その行動力は素晴らしいと思います」

――日本のポップスの未来は明るいと思われますか。

「明るいと思いますよ。もちろん僕自身のことだけでいえば、〈RYUSENKEIはいつか飽きられるんじゃないか〉と思って不安になったりしますけど(笑)。でも若い人たちがどんどん出てくるのは健全なことですし、その一方でadvantage Lucyや空気公団のような少し上の世代も最近また活発に動き出している。そういう循環が今すごく面白いですよね」

 

音楽ファンとして知られていない良いものを紹介

――『CITY MUSIC TOKYO』シリーズでは今後どういうことをやっていきたいですか。

「今回のように新しいアーティストを集めたものはもちろんですが、少し前には70年代のジャズファンクをテーマにしました。まだまだ埋もれている音源はたくさんありますよね。

実は、90年代の埋もれたインディーズ作品をまとめてみたいという気持ちもあります。ただ権利関係など現実的な課題も多いので、そこは簡単ではないんですけど」

――瀧口さん自身はミュージシャンでありながら、リスナーとしての視点を大事にされている印象です。

「はい、これは前からずっと言っているんですが、僕は自分をアーティストというよりも、まずリスナーだと思っているんです。ミュージシャンである以前に音楽ファンなんですよ。だからこそ、本当に好きな音楽をこうやって選べるんだと思います。まだまだ知られていない良い音楽はたくさんあるので、それらを紹介する役割はずっと続けていきたいですね」

 


RELEASE INFORMATION

VARIOUS ARTISTS 『CITY MUSIC TOKYO gradation』 Insense Music Works(2026)

リリース日:2026年7月15日(水)
品番:IMWCD-1867
価格:2,970円(税込)

TRACKLIST
1. 点と線と点/来島エル
2. 夏の日々よ/MARTER
3. Don’t Remember Me/優河
4. しずまれ/竹本健一
5. 浜辺/大石晴子
6. ミラーボール/渡辺シュンスケ
7. サマータイム・ブルース/Hana Hope
8. NEW DAY/菅原信介
9. Sweet Serenade/ウワノソラ
10. 潮騒/advantage Lucy
11. モーニング・プレイヤー/Shohei Takagi Parallela Botanica
12. 紛れて誰を言え/空気公団
13. 街の灯り/宇宙まお
14. 雨宿らず/永井琳子
15. 手垢/渡邉瑠菜
16. Singal/NEMNE
17. howa/Sara Wakui

 


PROFILE: クニモンド瀧口
2001年にRYUSENKEI(ex-流線形)として音楽活動をスタート。近年の世界的なシティポップリバイバルの流れで、アルバム『TOKYO SNIPER』『Talio』が海外から注目される。2024年に、アルファミュージックから『イリュージョン』をリリース。古内東子、ナツ・サマー、一十三十一など、プロデュース、楽曲提供、アレンジで参加。NHKドラマ「タリオ復讐代行の2人」の劇伴を担当。また、選曲・監修したコンピレーションアルバム『CITY MUSIC TOKYO』シリーズを各レコード会社から発売中。CMT Productionとして、グラフィックデザイン、ブランディングなど、音楽を中心に多岐に渡り活動している。
クニモンド瀧口 Linktree:https://linktr.ee/cmtpro