N響100年の記念イヤーに貴重な音源遺産が最高の音質になって登場!
2026年、NHK交響楽団創立100年を記念し、同団を40年にわたり導いたヴォルフガング・サヴァリッシュ(1923~2013)との名録音が、初SACD化のハイブリッド盤として復刻される。1964年の初来日以降、サヴァリッシュはN響の名誉指揮者(のち桂冠名誉指揮者)として300回を超える公演を指揮し、同団を世界水準へ押し上げた最大の功労者である。100周年にふさわしい復刻と言える。
1作目はメンデルスゾーンの大作“エリア”、1986年の創立60年・第1000回定期演奏会ライヴ。戦前ナチスにより演奏を禁じられたメンデルスゾーンの復興は、ドイツのミュンヘンで生まれ、戦後キャリアを歩んだサヴァリッシュにとって重要な使命であり、この名演の実現も彼の熱意あってこそだった。ベルント・ヴァイクル、ルチア・ポップ、ペーター・ザイフェルトら豪華歌手陣を招いた演奏は、指揮者自身が「特別な音楽会だった」と述懐するほど充実し、N響の「世界の一流レヴェルに伍する」出来映え、国立音大合唱団の「熱のこもった集中力」も高く評価された。冒頭のエリアの予言・序曲から壮麗なスケールと劇的緊張が漲り、精緻で迫力ある合唱が深い表現に結びつく。第1部第7曲の複四重唱には古典的明澄性も宿り、繊細さから壮麗さまで、メンデルスゾーン音楽の総決算と呼びたい名演となっている。
もう1作はベートーヴェン、R. シュトラウス、ブラームスのオーケストラ作品集。ベートーヴェンでは磨き抜かれた造形と清澄な響きが際立ち、とくに第5番は自然な流れの中で音楽が次第に高まり、終楽章で燦然と輝く。R. シュトラウス“死と変容”は序奏の脈動と緊迫感、急変する曲想への俊敏な対応、鋭いポリフォニー感覚が個性的。彼の同曲唯一の録音としても貴重。ブラームス第1番では響きの重心が下がり、テンポの揺れも加わってロマン派らしい音のドラマが展開する。終楽章のコラール再現からコーダに至る迫力は、歌劇場で鍛えたサヴァリッシュの真骨頂を示している。

