近年はグラスパーとの縁でも語られる異才の、パーパスでの2作目。今回はエイドリアン・ヤングに全面プロデュースを委ね、馴染みのスティーヴ・マッキーも不在というから挑戦的だが、芯にある表現はいよいよ濃度を高めている。リニア・ラブズのコンピ『Los Angeles』(のLP盤のみ)で先出しされていたアリ・シャヒード参加の“Sirens II”で幕を開け、プリンスやラファエル・サディークに通じる美意識を陶酔めかして繊細に披露。ブラジル情緒の“Open Up The Door”から旋律の螺旋が美しい“I Really Don't Care”への流れにスティーヴィーの〈3部作〉を薫らせつつ、ちょいちょい狂気も覗かせるあたりが彼らしい。客演はケンドリック・ラマーやキンブラら。ディアンジェロを発見した人もここまで来るといいです。
エイドリアン・ヤングに全面プロデュース委ねたビラルの新作は、ケンラマら招いてスティーヴィー〈3部作〉薫らせつつ狂気も覗かせる一枚
Purpose/eOne