自主的で既存の枠にとらわれない表現活動の場「フリンジ」
美術館とその周辺に広がる街で、日英の参加者が刺激的な新作を生み出すプロジェクト!

金沢の街って楽しい! 私達をみかけたら声をかけてくださいね!

 

 金沢は文化の街だ。伝統芸能も江戸時代から盛んで、文化施設も多く、大学や工房など美術の教育機関も多くある。毎年1つはギャラリーが増え、2012年にはその共同体「金沢アートスペースリンク」も出来た。何より、作家が沢山住まい、この街で制作をしている。

 私もこの街に生まれ、2007年から「NPO法人金沢アートグミ」というアートスペースの立ち上げに関わり、現在もここでスタッフをしている。金沢21世紀美術館が開館して以降は、街にさらにさまざまな芽が生まれ、文化状況はよりよい方向へ変わってきたと言えるだろう。

 ただ、小さな街には良さも悪さもあり、作家やギャラリー、文化に関わる人々の状況がすべてハッピーな訳ではない。個々の活動は粒のように感じるし、マーケットは小規模。狭い世界だ。チャンスや目標、この街の中だけでは越えていけないものがある。そういった意味で金沢は、可能性を秘めた、まさしく「Fringe(周辺)」な街と言える。

 そのような状況の中、2015年10月に金沢21世紀美術館の主催で「Museum x KNZ Fringe~街と、人と、出会う」が開催されることになった。

 これは英国で活躍する若手アーティスト主導型コミュニティ『フォレスト・フリンジ/Forest Fringe』から選出したパフォーミングアーティスト3組をレジデントとして迎え、彼らと協同する金沢のアーティスト、クリエイター、ディレクターなどとの出会いを経て、実験的・冒険的な連携、創作活動、及び発信を試み、刺激的な新作を創作するプロジェクトである。

Suisei-Art ワークショップ

 

舞踏 ワークショップ

 

能 ワークショップ

 

 金沢での滞在と新作制作を行うアーティストはアクション・ヒーローニック・グリーンスコッティの3組。三者三様、それぞれにポリシーがあり、金沢には無い、とても魅力的な活動を行っている。彼らが選んだ会場は、元銀行でアーティストランスペースのKapo、私設図書館とギャラリーの山鬼文庫、ロウブロウアートを取り扱うBadass Gallery。それぞれの環境に合わせ、時間も定員も内容も、全く異なった新作パフォーマンスが行われる。

 今回観られるパフォーマンスは、所謂演劇やダンスとは一味違う。例えば、アーティストと1対1で静かに向き合うもの、参加型で居たいだけずっと居続けられるもの、15分間のキャバレーのようなもの。

 これらの新作公演は10月10日、11日のわずか2日間しか行われない。しかし、それまでのプロセスは豊潤で、新しい出会いと挑戦に満ちている。6月に第1期レジデンスが終了した今、既に、アーティストを媒介に、この街に住んでいる私たちが当事者意識を持ち、何かを生み出していくための新しい関係が日々構築されていっている。

 金沢21世紀美術館のコンセプトの1つである「まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館」を実践していくという意志を強く感じる本プロジェクトを通して、この街の文化に、新しい何かが生まれる可能性を感じている。まずは第一歩である。

アクション・ヒーロー ワークショップ

 

スコッティ 新作プレゼンテーション

 

ニック・グリーン ワークショップ

 

EVENT INFORMATION
Museum × KNZ Fringe ~街と、人と、出会う

●アーティスト・イン・レジデンス
第1期:6/8(月)~22(月)
第2期:9/26(土)~10/14(水)
●前夜祭:10/9(金) 
●公 演:10/10(土)、10/11(日)
●アーティスト × 会場 × コーディネーター:
アクション・ヒーロー× Kapo × 齋藤雅宏(Kapo)
ニック・グリーン × 山鬼文庫 × 中森あかね(Suisei-Art)
スコッティ× Badass Gallery × 上田陽子(金沢アートグミ)
homepage→http://forestfringe.co.uk/knz/

□金沢21世紀美術館
homepage→http://www.kanazawa21.jp
facebook→http://www.facebook.com/kanazawa21event