INTERVIEW

ポーランドの俊英ピアニスト、マルチン・ボシレフスキが語るECMとの蜜月とトリオでの近作『Spark of Life』

Gildas Bocle /ECM Records

 

ポーランドの俊英ピアニスト、所属するECMとの蜜月を語る

 このポーランド人俊英ピアニストに分岐点はありますかと問うと、こんな答えが返ってきた。

 「2度あった。一つは、(ポーランド人トランペッターで長年ECMと契約している)トーマス・スタンコと出会った時。彼とは、14年間一緒に演奏した。それから、2001年にECM代表のマンフレート・アイヒャーと会った事。それは、トーマスのレコーディングの時だった。そして、その際アイヒャーが僕の演奏を聴いて、録音したいと言ってきた。ECMのレコードは全部持っていたので、それは天にも登る気持ちだった」

 そんな発言に窺えるようにマルチン・ボシレフスキは、大のECMファン。1975年生まれの彼は、13歳の時にキース・ジャレットの表現を知り、自分もジャズの世界に進もうと決めた。大学でジャズを専攻した後、現在のトリオと同じ顔ぶれのシンプル・アコースティック・トリオで活動。同トリオはECMと契約し、マルチン・ボシレフスキ・トリオと名を変えた。

 「おかげ様で、トリオは同じメンバーで続ける事ができている。初めて3人でやった時、ものすごくいいエネルギーが出ていて、一体になれる感じがあった。それがずっと続いていて、だからこそ冒険もできる」

 同トリオは、ECMから4枚のアルバムを発表。またアイヒャーの紹介で、彼と同トリオのスワヴォミル・クルキエヴィッツ(b)はフランス人敏腕ドラマーのマヌ・カチェの『ネイバーフッド』に参加。ボシレフスキは、ライヴ活動も3年半共にした。

 「トリオの初めての録音の際、アイヒャーがスタジオに来て、満足げな表情を浮かべた時は安堵した。そして、いい関係が今まで続いていて、本当にうれしい。彼は自分の意見をはっきり持っている人。時に自らマイクを立てもして、音楽をいい雰囲気を持つ方に持って行ってくれる。ECMに入ったということは、やはりいろいろと大きい。僕たちの音楽の幅が広がっていったのは間違いないし、ECMアーティストということで世界各地から呼ばれるようにもなった」

マヌ・カチェの2005年作『ネイバーフッド』収録曲“Number One”

 

 ラインやタッチが静謐で、そこから絶妙な余韻や奥行きが広がる、いかにもECM的なピアニスト。そんな彼のトリオの近作『Spark of Life』ではなんとハービー・ハンコックのエレクトリック・ファンク・アンセム《アクチュアル・プルーフ》を取り上げた。

 「カヴァーは面白く処理できるかどうかに観点を置くけど、僕たちもこんなに面白い仕上がりになるとは思わなかった。1年前ぐらいから内容を考え始め、周到に準備をして、2、3日の勝負日で全てを出し切る。レコーディングって、オリンピックに臨むアスリートみたいなものだと僕は思っているよ」

マルチン・ボシレフスキ・トリオとヨアキム・ミルダーによる“Spark of Life”パフォーマンス映像
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