活発化するナショナルたちの外仕事

 2作連続で全米チャートTOP3入りを果たすなど、すっかりUSの国民的なバンドに成長したナショナル。ここへきてその中心メンバー3名が課外活動に力を注いでいる様子なので、簡単に紹介していこう。まずエル・ヴァイで色気たっぷりのバリトン・ヴォイスを披露しているマット・バーニンガーは、ウォルター・マーティンウォークメン)やクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーの作品などにも客演。メインストリームでの成功を収めようとも、NYインディーの顔役であることに変わりないことが、参加作からも窺える。

ウォルター・マーティンの2014年作『We're All Young Together』収録曲でマットが参加した“We Like the Zoo”

 

 さて双子のアーロン&ブライス・デスナー兄弟はブラスランドのレーベル・オーナーとしても知られ、マット以上の多忙ぶり。アーロンはマルチ・プレイヤーとして多数の作品をサポートしつつ、ローカル・ネイティヴスディス・イズ・ザ・キットらのプロデュースも手掛けてきた。さらに、マムフォード&サンズの『Wilder Mind』で複数曲を共作。これをきっかけにメジャー仕事が増えそうな予感だ。

マムフォード&サンズの2015年作『Wilder Mind』収録曲“Ditmas”

 

 一方、イェール大学の修士号も持つブライスは、現代音楽の方面から引っ張りだこ。フィリップ・グラスクロノス・クァルテットとのコラボを実現させたほか、ドイツ・グラモフォンからレディオヘッドジョニー・グリーンウッドとの共演盤『St. Carolyn By The Sea/Suite From There Will Be Blood』も発表している。また、最新ソロ作『Music For Wood And Strings』ではソー・パーカッションビューク・アンド・ゲイスを招き、オリジナル楽器まで導入して我々を驚かせてくれたっけ。こうした三者三様の外部ワークスが本隊にどう活かされていくのか、非常に楽しみである。   

ブライス・デスナーとジョニー・グリーンウッドの2014年作『St. Carolyn By The Sea/Suite From There Will Be Blood』収録曲“St. Carolyn By The Sea”