活発化するナショナルたちの外仕事
2作連続で全米チャートTOP3入りを果たすなど、すっかりUSの国民的なバンドに成長したナショナル。ここへきてその中心メンバー3名が課外活動に力を注いでいる様子なので、簡単に紹介していこう。まずエル・ヴァイで色気たっぷりのバリトン・ヴォイスを披露しているマット・バーニンガーは、ウォルター・マーティン(ウォークメン)やクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーの作品などにも客演。メインストリームでの成功を収めようとも、NYインディーの顔役であることに変わりないことが、参加作からも窺える。
さて双子のアーロン&ブライス・デスナー兄弟はブラスランドのレーベル・オーナーとしても知られ、マット以上の多忙ぶり。アーロンはマルチ・プレイヤーとして多数の作品をサポートしつつ、ローカル・ネイティヴスやディス・イズ・ザ・キットらのプロデュースも手掛けてきた。さらに、マムフォード&サンズの『Wilder Mind』で複数曲を共作。これをきっかけにメジャー仕事が増えそうな予感だ。
一方、イェール大学の修士号も持つブライスは、現代音楽の方面から引っ張りだこ。フィリップ・グラスやクロノス・クァルテットとのコラボを実現させたほか、ドイツ・グラモフォンからレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドとの共演盤『St. Carolyn By The Sea/Suite From There Will Be Blood』も発表している。また、最新ソロ作『Music For Wood And Strings』ではソー・パーカッションとビューク・アンド・ゲイスを招き、オリジナル楽器まで導入して我々を驚かせてくれたっけ。こうした三者三様の外部ワークスが本隊にどう活かされていくのか、非常に楽しみである。