バークリー音楽院出身、NY在住の邦人キーボーディスト、平野雅之の処女作はグラスパーやQティップとの親交と人脈が反映された最先端のジャズ・エレクトロ/ヒップ・ホップ。平野がバックバンドで演奏するビラルがヴォーカル&リリックで参加し、盟友の力作に華を添える。そんな本作の特徴は平野ルーツのひとつであるショパンを連想させる憂いのあるメロディと近年の現代ジャズ作品のなかでも一際に硬質なプロダクション。白眉が要注目のドラマー、ジャスティン・タイソンが参加の《revolution US》だ。8分にも及ぶ長尺のラスト・トラックはハードSF小説の如き辛口な読後感を与える。
Q・ティップやタリブ・クウェリらのライヴやレコーディングで活躍してきたNY在住の日本人キーボーディスト。ダルー・ジョーンズ(ドラムス)らの助力で仕上げた昨年のアルバムが、一般流通の日本盤としていよいよ逆輸入だ。ヒップホップ感覚を裏地に合わせたアコースティックで端正な演奏は現代ならでは。ビラルやクリス・ターナーの参加もあり、グルーヴィーで小気味良い才能のショウケースとして気負わず楽しみたい。