マイルス本は人気もあって沢山出ているが、言ってしまえば“Out of Jazz Into Miles”というコンセプトで書かれた本誌は、ベテランジャズファンには、70年代以降のマイルスの本質を理解する格好の手引きに、そして、2000年以降のグラスパー世代のファンには、本来の意味でのマイルスの存在を理解する絶好のガイドである。それぞれのテーマにマッチした対談ゲストの選定、そして、引きだされた談話への的確な動機付けは、そこで紹介されるディスクをすぐに聴きたくさせる説得力に富んでいる。そして、そこで多くのマイルス・ファンは、彼の信念が初めから死ぬまで揺らがなかったことを確信できるだろう。