盟友・鈴木優人と若手音楽家がタメスティのもとに集結!
アントワン・タメスティは、現代最高のヴィオリストの一人。2004年に最難関のARDミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、世界的な注目を集め、現在はパリ国立高等音楽院教授を務める。また、東京で毎年開催されているヴィオラ・スペースでは今井信子とともに共同ディレクターの任にある。1979年、パリ生まれ。父親がヴァイオリニストであり、最初はヴァイオリンを学んだが、バッハの無伴奏チェロ組曲を弾きたいと思い、10歳のときにヴィオラに転向した。プロのヴィオリストのほとんどが大学生時代か大人になってからヴィオラに転向していることを考えると異例の早さである。そんなタメスティが弾くヴィオラが1672年製のストラディヴァリ。ストラディヴァリのヴィオラ自体がとても少ないが、彼の弾く楽器はストラディヴァリがヴィオラを定義しようとして作った極めて貴重なもの。
12月2日に横浜みなとみらいホールで開催される「アントワン・タメスティと日本の俊英たち」にタメスティが出演する。19時30分開演のコンサートではあるが、19時からのプレコンサートで、タメスティは鈴木優人とバッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第3番を演奏する。鈴木は、チェンバロ、オルガン、ピアノ、指揮など、マルチに活躍し、今、最も注目される若手音楽家の一人。タメスティの盟友とも呼べる存在である。
コンサートは、鈴木がオルガンで奏でるバッハの「幻想曲ト長調BWV572」で始まる。続いて、若き歌姫、小林沙羅が《フィガロの結婚》などモーツァルトのアリアを歌う。山田和樹が創設した横浜シンフォニエッタを相手に鈴木がモーツァルトの交響曲第35番《ハフナー》を振るのも楽しみである。
後半には、20世紀ロシアの作曲家、シュニトケの作品が並ぶ。《音響と反響》はオルガンとトロンボーンのための曲。古楽を得意とする鈴木優人とジャズで活躍する中川英二郎が現代音楽を奏でる興味津々のコラボレーションである。そして最後に、タメスティが登場し、《モノローグ》(ヴィオラと弦楽のための)を鈴木&横浜シンフォニエッタと弾く。約18分を要するシュニトケの晩年の作品でタメスティの真価が示されることであろう。
ヴィオラの若き世界的名手と日本のフレッシュな音楽家たちとの交歓。もちろん、タメスティの妙技を堪能したいが、バッハからシュニトケまですべての曲に出演する鈴木優人の多彩な活躍にも注目である。
LIVE INFORMATION
アントワン・タメスティと日本の俊英たち
○12月2日(金)19:30開演(21:00終演予定)※19:00~19:15プレコンサート
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
出演:鈴木優人(指揮・オルガン)/ アントワン・タメスティ(ヴィオラ)/ 小林沙羅(ソプラノ)/ 中川英二郎(トロンボーン)/ 横浜シンフォニエッタ(オーケストラ)
プログラム:J. S. バッハ/幻想曲ト長調 BWV 572「ピエス・ドルグ」
W. A. モーツァルト/オペラ《フィガロの結婚》より 他
W. A. モーツァルト/交響曲第35番ニ長調K. 385「ハフナー」
A. シュニトケ/「音響と反響」(オルガンとトロンボーンのための)
A. シュニトケ/モノローグ(ヴィオラと弦楽のための)