透明感にみちたピアノのトーン、端正で繊細なタッチ、静けさの中に浮かび上がるような一つ一つの音はモノクロームの趣きを呈し、聴く者の心の中にいつの間にか入りこんでくる。女性ピアニスト、Hiroco.Mの処女作であり、全曲描き下ろしによる8曲のイマジネイティヴなソロ・ピアノ曲集。普段演奏の場としている銀座のクラブで、アップライト・ピアノで奏でられたソフトな響きはどこかヨーロッパ映画の中の、果てしなく美しい曇り空が思い浮かぶようでもある。タイトル曲にはジャズ・ベース奏者中村健吾が参加。心を無にし、日常から自身を開放して聴けば、今まで感じたことのない安らぎに包まれる。