実り多かったfcpの2016年

 本文にもあるように、2012年にミニ・アルバム『FLEXIBLE』でデビューして以来、2016年はfox capture planにとって初めて単独リリース作品のなかった年ということになる。とはいえ、毎年のアルバムがなかった代わりにバンドとしては遠心力のある動きを見せ、メンバー個々の活躍も多岐に渡って目覚ましかったのは言うまでもない。なお、JABBERLOOPも活発な岸本亮POLYPLUSでも活動しているし、井上司nhhmbaseの進化型となるマモル&ザ・クリティカルヒッツで動きはじめたことも付記しておこう。 *轟ひろみ

fox capture plan,bohemianvoodoo color & monochrome 2 Playwright(2016)

いまやレーベルの二枚看板に成長したfcpとbohemianvoodooが、2013年に出していたスプリット盤の第2弾。前作と同じく両バンドが2曲ずつを持ち寄った格好で、fcpは繊細なフレーズを伴って疾走する“Acceleration”とドラムンベース味もあるドラマティックな“Turning Point”を提供!

 

jizue,fox capture plan Match Up bud music(2016)

イヴェントでの競演も多く、スプリットの7インチを出したこともある京都の人気インスト・バンドと4曲ずつを分け合った限定サンプラー。fcpは貴重なライヴ音源のほか、タワレコ新宿店限定で出されたCD-Rの処女作『Sampleboard』から2曲を提供しているのが嬉しいポイントだろう。

 

fox capture plan,Keishi Tanaka 透明色のクルージング Playwright(2016)

riddim saunterのシンガー・ソングライターをフロントに迎えた、爽快なコラボ・シングル。彼の別曲のfcpによるリミックスも収録。〈Keishi Tanaka feat. fox capture plan〉名義の同名シングルではまた異なるエクスクルーシヴなカップリング群が楽しめるので併せてチェックを。

 

Keishi Tanaka What's A Trunk? Niw!(2016)

上掲コラボの流れもありつつ、ライヴ/ツアー・メンバーも務めた岸本は、fcpで共同アレンジした“透明色のクルージング”も含めて都合7曲の演奏に参加している。主役の備えた都市型ソウルAORのフィーリングが『FRAGILE』に与えた影響の大きさは説明を要さないだろう。

 

VARIOUS ARTISTS ROCK IN DISNEY~Season of the Beat Walt Disney(2016)

〈ロック・フェス〉感をテーマにしたディズニー・カヴァー集にて、大森靖子との初コラボが実現! 前年の『PIANO MAN PLAYS DISNEY』にもfcpは単独で参加していたが、ここでの“Alice In Wonderland”では激しいピアノを印象的に響かせながら、大森の奔放な歌声に対峙している。

 

arlie Ray Re: covered SCM(2016)

岸本とカワイがプロデュースを手掛け、fcp作品でも知られるエンジニアの上原翔を起用した、女性シンガーの意欲的なアニソン・カヴァー集。“残酷な天使のテーゼ”と“銀河鉄道999”ではバンドごとバックアップしてもいるので、fcpのファンなら聴き逃し厳禁な一作となっている。