珠玉の名品『North Marine Drive』から31年を経て届いたソロ2作目。エヴリシング・バット・ザ・ガールとも2000年以降のDJワークとも異なるプライヴェートな肌触りのアコースティック・サウンドは、あきらかに前作との連続性を感じさせる。だが、長い年月はかつての青春の痛々しさを氷解し、“Spring”という曲が象徴するように柔和な温かみを加味させた。そんな優しい私信に、涙する以外ほかにどうすればいいのだ。
80年代至高の名盤『ノース・マリン・ドライヴ』から31年振り! エヴリシング・バット・ザ・ガールのベン・ワットの2ndアルバムが完成した。90年代より傾倒してきたハウス・ミュージックの影響があるのかと思いきや、スピーカーから流れてきたのはシンプルなシンガーソング・スタイル。円熟を迎えたキャリアをもって奏でる原点回帰とも言うべきか。どことなく70年代の雰囲気も感じるが、彼が10代の頃に聴いていたものが滲みでているのかもしれない。溢れる歌心と時にはロックしている感じがたまらない! 共演のバーナード・バトラーやデイヴィッド・ギルモアのギター・プレイもいい。