どうもこんにちは。和賀です。ようやく酷暑だった夏が終わった!! 食の秋だ! 秋刀魚の秋だ! 音楽の秋だ!……というわけで、天気に負けず、秋を楽しんでいきたい今日この頃。今回もアルバムを3枚、紹介していきましょう。

DIRTY PROJECTORS Lamp Lit Prose Domino/HOSTESS(2018)

 まずはダーティー・プロジェクターズ『Lamp Lit Prose』。バンド・メンバーの脱退などで前作はかなりダークな雰囲気でしたが、この最新作はピーキーでエクスペリメンタルなサウンドとポップさが同居している、非常に〈らしい〉名盤に。全曲を通してアレンジが素晴らしく、どういう発想をしたら〈この曲でこの演奏をしよう!〉と思えるのか本当に不思議。ギタリスト的には“Break-Thru”などに見られる、ワーミーを筆頭にした各種エフェクターの使い方が非常に参考になります。初期の彼らの代表作『BItte Orca』が好きだった人にも超おすすめ。リフ・マニアにもおすすめ。というか、インディー・ロックが好きな人はとりあえず聴きましょうな一枚。

EFTERKLANG,THE DANISH NATIONAL CHAMBER ORCHESTRA Performing Parades Leaf(2009)

 次はエフタークラング&デンマーク国立室内管弦楽団による『Performing Parades』。もう9年前くらいの音源になるんですが、学生時代にポスト・ロックにハマっていろいろ聴き漁っていた頃、一際グッときた一枚です。彼らの『Parades』(2007年)というアルバムをオーケストラと共に生演奏したライヴ盤なのですが、ライヴならではの空気感、臨場感、緊張感。そしてそこから解放された時の多幸感がぎっしり詰まった素晴らしいアルバムです。初回盤には映像も付いていて、それがまた素晴らしい。出演者全員が(オーケストラのおじいちゃん、おばあちゃんも含めて!)クリスマスに飾るモビールみたいな可愛い紙の三角帽を被っていて、もう最高に景色がハッピーだし、特にCDだと本編最後の“Cutting Ice To Snow”の時のカタルシスは鳥肌もの。春でも夏でも秋でも、世界のどこにいても、絵に描いたようなカラフルで可愛く、美しい北欧の冬景色に連れていってくれることでしょう。

Spangle call Lilli line TRACE felicity(2005)

 最後はSpangle call Lilli line(以下SCLL)の『TRACE』。僕らfhánaのアー写も撮ってくれている笹原清明さんがメンバーでもあるバンドの4枚目のアルバム。SCLLは日本の音響/ポスト・ロックのなかでも1、2を争うほど好きなバンドでして、この『Trace』は“Mila”“U-Lite”など、比較的ポップな曲が詰まったアルバムなのですが、個人的に推したいのは最後の曲“Sugar”。語感を重視した不思議で、とても耳あたりの良い言葉たち、ある意味チープとも取れる優しい電子音、ギターの流麗なリフ、心臓の鼓動のようなシンプルなリズム、子守唄のような優しいメロディー、すべてが素晴らしく、最後のコーラスのリフレインとフェードインしてくるビット・クラッシュされたドラムで涙腺崩壊確定です。『Piano Lesson』(2011年)というアルバムにもアコースティック(ピアノ)・ヴァージョンが収録されてますので、ぜひそちらもチェックを。それでは、また。

 


yuxuki waga
佐藤純一(FLEET)とs10rwのyuxuki waga、kevin mitsunaga(Leggysalad)という3人のサウンド・プロデューサーと、ヴォーカリストのtowanaとのユニット、fhánaのギターを担当。最新アルバム『World Atlas』(バンダイナムコアーツ)が好評リリース中! 12月12日にはメジャー・デビュー5周年記念のベスト盤の発表も控えています。気になる今後の予定は〈http://fhana.jp/〉にてチェックを!