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[ 不定期連載 ]プリンスの19XX年

 2年前の『Purple Rain Deluxe』に続いて、またしても垂涎モノの蔵出しを含むリイシュー作品が届いた。今度はプリンスが一段階上の存在に登り詰めた『Purple Rain』(84年)のひとつ前のアルバムにあたる通算5作目、世界に向けて大きく羽ばたいた『1999』(82年)のデラックス・エディションだ。

PRINCE 『1999: Deluxe Edition』 Warner/ワーナー(2019)

 最初に体裁をざっくり書き記しておくと——マキシマム仕様となる『1999: Super Deluxe Edition』は実にCD5枚組の65曲というとんでもなさである。Disc-1には本編が最新リマスターで収録され、Disc-2には別エディットやB面曲を18トラック。Disc-3~4には81年11月から83年1月の間に録音された23曲の未発表スタジオ音源(+ベスト盤『4Ever』で初出となった“Moonbeam Levels”)。Disc-5には82年11月30日にデトロイトで行われたセカンド・ショウのライヴ録音をフル収録、さらにDVDとなるDisc-6には82年12月29日に行われたヒューストン公演の模様が収録。もちろんいずれのライヴも公式には未発表だったものだ。

 『1999』といえば、ジャケが印象的な紫色で、そこに鏡文字でバンド名の〈The Revolution〉が初めて表記されたことでも知られている。紫ということでは、デビュー前のデモ曲“Leaving For New York”でも〈Purple〉〈Rain〉〈Dawn〉といった好みの単語を用いていたプリンスだが、もしその〈Purple〉と〈Dawn〉がより密接に結び付いていたとしたら、夜明け=転換点となる世紀末を表題曲のモチーフにした『1999』のアートワークに紫が採用されたのは興味深い。実際に『1999』はバンド・メンバーのインプットをこれまでになく含むという意味で、プリンス録音史上の転換点を刻む作品である。……ということで、今回はデズ・ディッカーソンへの貴重なインタヴューが実現した。このたびの『1999: Super Deluxe Edition』を「当時の思い出に浸りながら楽しく聴いたよ(笑)」と語る彼は、プリンス・バンドの初代ギタリストであり、78年の結成から83年の〈1999 Tour〉終了まで殿下と行動を共にし、〈夜明け〉にも立ち会った重要人物だ(このページの写真のいちばん右で〈神風〉なるハチマキを締めているのが彼である)。