さて、びっくり。高名な指揮者であるチョン・ミュンフン初のピアノ・ソロアルバムがECMからリリースされた。名曲がずらりと並ぶ驚きの内容! 誰もが聴いた事があるはずの名曲をこんなに丁寧にゆっくりと歌い上げる演奏、聴いた事ないですよ。本人のいろいろな思い出がつまった曲、それが選曲の基準だったようですがまるでスチール写真のスライドショーのような落ち着いた音の運びが素晴らしい。
そして、ピアニストの話題盤といえばソロによる来日公演を終えたばかりのキース・ジャレットが、チャーリー・ヘイデンとのデュオ『Last Dance』をリリースする。『Jasmine』の続編だが、あらたに収録したということではなく未発表(もともと二枚に分けて発表する予定だった?)のものをまとめ今回のリリースとなったようだ。内容は? うん、Jasmineですよ。この二人のデュオは70年代から断続的に続いてるわけでキースの企画、というよりは本来チャーリーさんのライフワークのようなデュオ企画。かつてメセニーやらハンク・ジョーンズ、それにオーネット・コールマンもありました。ECMじゃないですがそちらも是非。
そして、バンドネオンのディノ・サルーシのファミリーバンドによる新譜がある他、ジャバラものがもうひとつ。アコーディオン奏者、ジャン-ルイ=マティニエとスウェーデンの民族楽器、ニッケルハルパの奏者、マルコ・アンブロッシーニのデュオによるアルバムがリリースされた。マティニエはルノ・フォンガルシアとの大ヒットしたデュオがあり欧州では人気のプレイヤー。アルバムにはニッケルハルパの弦の擦れるアルカイックな音と甘いアコーディオンで、バッハ、ビーバー、ペルゴレージなどが収録されています。こちらもおすすめです。ECMは来月も新譜もりだくさんです!