私たちの日常の風景をすっかり変えてしまった、コロナ禍。それはまた、私たちの音楽の聴き方にも少なからず影響を及ぼしたと思います。以前好きだった音楽を受け付けなくなったり、あるいはそれまでスルーしていたような音楽に突如として心を奪われたり……。

そこでMikikiでは、ミュージシャンやレーベル関係者、レコード・ショップ関係者、ライブハウス関係者など音楽に関わって仕事をする人々に〈コロナ禍以降、愛聴している1曲〉を訊ねる新連載をスタート。その回答は一人ひとりのいまの心情を映し出すと同時に、災いに見舞われた人々に対して音楽がどのような意味を持つのか、そのヒントにもなるのではないでしょうか。 *Mikiki編集部

【アーティストと音楽関係者が選ぶ〈コロナ時代の1曲〉】記事一覧はこちら


 

ピーター・バラカン

1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、74年に来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動。テレビやラジオのレギュラー多数。著書に「200CD+2 ピーター・バラカン選ブラック・ミュージック アフリカから世界へ」「わが青春のサウンドトラック」「猿はマンキ、お金はマニ 日本人のための英語発音ルール」「魂(ソウル)のゆくえ」「ロックの英詞を読む」「ぼくが愛するロック名盤 240」「ピーター・バラカン音楽日記」「ラジオのこちら側で」などがある。またコンピレーションCD等の企画や監修も行っている。

 

コロナ禍以降、特に愛聴している1曲は何ですか?

Jessie & The Leonards “Working On The Frontline”(2020年作『2020』収録)

1年以上続いているパンデミックが一体いつになったら終息するか、まだ誰にも見えない状態です。できるだけ普通に生活するつもりでも、方々から入ってくる情報に惑わされ、ついついストレスが溜まり、冷静さを失いがちなものですが、医療従事者には本当に頭が下がります。

危険な中で毎日淡々と仕事をこなすその医療従事者の立場で歌ったJessie & The Leonardsの“Working On The Frontline”を聞くと改めて謙虚な気持ちになります。

 


RELEASE INFORMATION

ピーター・バラカン 『テイキング・ストック ぼくがどうしても手放せない21世紀の愛聴盤』 駒草出版(2020)

〈21世紀の愛聴盤〉をテーマとしたディスク・ガイド。2000年以降に発売されたアルバムの中から、ピーター・バラカンが〈どうしても手放せない究極の52枚〉をオール・カラーで紹介。さらにおすすめの104枚、そして生涯の愛聴盤707枚のリストも加えた、音楽愛好家必携の1冊

刊行日:2020年8月7日
版元:駒草出版
品番:9784909646316

【目次】
まえがき
Chapter1 :〈ディスクガイド〉ぼくがどうしても手放せない21世紀の愛聴盤52+104(オールカラー)
Chapter2:〈アルバムリスト〉ぼくの生涯の愛聴盤707
あとがき

 

ピーター・バラカン 『新版 魂(ソウル)のゆくえ』 アルテスパブリッシング(2019)

ピーター・バラカンがアメリカのブラック・ミュージックの歴史とスターたちを詳細に語った、ロング・セラーの名著。全448曲を収めたSpotifyのプレイリストのリンクQRコードと、自身による書き下ろしの解説を加え、リニューアル

刊行日:2019年9月14日
版元:アルテスパブリッシング
品番:9784865592085

【目次】
二〇一九年版の読者のみなさんへ
00. はじめに──ぼくにとってのソウル・ミュージック
01. ゴスペルの話から始めよう─ソウル前史
02. R&Bからソウルへ──レイ・チャールズ、サム・クック、ジェイムズ・ブラウン
03. モータウン─黒人の夢を乗せた都会のサウンド
04. サザン・ソウル──スタックスが作りあげた六〇年代の奇跡
05. ニュー・オーリンズのR&B
06. 七〇年代ソウルのスーパースターたち──内省と成熟
07. フィラデルフィア・ソウル─都会育ちの黒人たち
08. ファンク、ロックとソウル
09. ディスコ・ブームとソウルの死
10. ヒップ・ホップの時代
11. 魂のゆくえ──むすびに代えて