本書は1920年代、つまりエジソンの時代から現在に至るまでの音楽ビジネスの歴史を歴史小説的な文体で、丹念なリサーチの元で綴った600頁近い大著だ。浮き沈みを繰り返してきた音楽産業史の主人公はラジオやウォークマン、CD、MTV、iTunes StoreやiPod、iPhoneなどのテックイノベーションや新たなプラットフォーム、そしてそれを生み出した革新者たち。著者はその都度現代の視点を挿し込み、コロナ禍で〈複雑骨折〉を負った現在の音楽産業、〈ポスト・サブスク〉のヒントを探ろうとする。なおかつ、かつてイノベーターだった日本人の功績を強調し、この国にはまだまだ音楽のためにやれることがある、と勇気を与える一冊。
榎本幹朗「音楽が未来を連れてくる 時代を創った音楽ビジネス百年の革新者たち」ラジオ、CD、iTunesからポスト・サブスクへ 浮き沈みを繰り返す音楽産業史を綴った大著
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