(左から)ジャスティン・ヴァーノン、アーロン・デスナー
Photo by Graham Tolbert

2020年にリリースされたテイラー・スウィフトのアルバム『folklore』と『evermore』。現代最高峰の女性シンガー・ソングライターであり、セールス面でもトップランナーであり続けるテイラーが、リモートで制作したこの2作品がコロナ禍で停滞する音楽シーンに大きな輝きをもたらし、アーティストたちにとっても、リスナーたちにとっても指標の一つとなったのは言うまでもない。

そのテイラーの2枚のアルバムをプロデュースしたのがアーロン・デスナー、そう、今や全米を代表するバンドと言ってもいいナショナルのギタリストにしてソングライター、そして数多くのアーティストを手がけるプロデューサーだ。テイラーの作品を手がけたことによって自身も大きく改革したと認めるそんなアーロン・デスナーと、ボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンとが組んだユニット、ビッグ・レッド・マシーンが、ニュー・アルバム『How Long Do You Think It’s Gonna Last?』をリリースする。

2018年のセルフ・タイトル作『Big Red Machine』に続く2作目になる今作は、まさにテイラーの去年の2作品の延長線上にあるフォーキーで自省的な一面が、他者とのつながりを促すような曲が多く並ぶ。即興的でビートを強く押し出した作品だったファーストとは対照的と言ってもいい。

アルバムにはテイラー・スウィフトはもちろん、アナイス・ミッチェル、フリート・フォクシーズのロビン・ペックノールド、ナイーム(スパンク・ロック)、ベン・ハワード、ディス・イズ・ザ・キットのケイト・ステイブルズ、シャロン・ヴァン・エッテン、リサ・ハニガン、マイ・ブライテスト・ダイヤモンド……と実に多くのゲストが参加。二人がイベントやフェスも手がける仲間であり同志であり、果ては〈PEOPLE〉という様々な業種の仲間たちを集めたコミュニティーとしてともに活動していこうとする開かれたスピリットの持ち主であることを象徴してもいる。

そのビッグ・レッド・マシーンの新作について、アーロン・デスナーに話を訊くことができた。もちろん、テイラー・スウィフトとのコラボレーションのいきさつやエピソードもたっぷり話してくれている。今回、このアーロンとの対話は、MikikiとTURNにて同時公開となっているが、それぞれ違う話が展開されているので、両A面のような感覚でぜひハシゴして読破してもらえれば幸いだ。ここまでガッツリとアーロンの発言記事がネット・メディアに掲載されるのも日本では滅多にないこと。まぎれもなく現在のアメリカの……いや世界規模で見ても最重要人物の貴重なロング・インタビューである。

BIG RED MACHINE 『How Long Do You Think It’s Gonna Last?』 Jagjaguwar/37d03d/BIG NOTHING(2021)