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ここから順次リイシューされていく予定! ブラックグラウンドが誇るこれまでの全アルバムを紹介!

AALIYAH 『One In A Million』 Blackground/Empire(1996)

ほぼ無名の若手がいきなりプロデューサーに抜擢された驚き以上に、そのティンバランドの音作り × ミッシー・エリオットによる歌唱フロウの新感覚と初作からの変化にブッ飛ばされたセカンド・アルバム。洗練されたスムースな歌声と緻密に這うビートの融合がクセになる“Hot Like Fire”や表題曲、野太くうねる“If Your Girl Only Knew”などで新次元を見せている。一方でダイアン・ウォーレン作のバラード“The One I Gave My Heart To”や、前作の延長線上にあるアイズリーズ曲とマーヴィン・ゲイのキュートなカヴァー“Got To Give It Up”を仕立てたヴィンセント・ハーバート、ケイ・ジーやジャーメイン・デュプリら他制作陣の仕事もいいバランスで収まる。

 

TIMBALAND & MAGOO 『Welcome To Our World』 Blackground/Empire(1997)

盟友のラッパーであるマグーとタッグを組み、ミッシー・エリオットの初作『Supa Dupa Fly』に続く形でティンバランドの奇才ぶりを世に問うた初作。奇矯なサンプリングを凝らしたスカスカのビートをパーカッシヴに刻む意匠はいま聴いてもプログレッシヴだ。ミッシーとアリーヤを迎えたヒット“Up Jumps Da Boogie”をはじめ、“Luv 2 Luv U”や“Joy”などキャッチーさの基準を変えた過激な名曲揃い。アリーヤはもう1曲“Man Undercover”でも歌う。

 

TIMBALAND 『Tim’s Bio: Life From Da Bassment』 Blackground(1998)

ベースメント・クルーの仲間たちを招いたリーダー作という趣もある、ティンバランドのソロ名義による初作。前後してデフ・ジャム経由でデビューしたプレイヤをはじめ、ミッシーやジニュワイン、マグー、スキルズらをそれぞれフィーチャーして悠々と自身のマナーを追求。ジェイ・Zとの“Lobster & Scrimp”を筆頭にナズやトゥイスタら外部の大物も迎え、無名時代のリュダクリスを抜擢してもいる。

 

VARIOUS ARTISTS 『Romeo Must Die』 Blackground/Empire(2000)

ジェット・リーとアリーヤが主演した映画のサントラ。当時ヴァージンと配給契約を結んだレーベルの初タイトルとして気合いも十分で、全米1位を獲得した“Try Again”やDMXとの“Come Back In One Piece”、さらに“Are You Feelin’ Me?”といったアリーヤの新曲を看板にしつつ、デスチャら外部勢の楽曲もエリック・シーツ&ラプチャーが手掛けてブラックグラウンド色に。ティンバランド&マグーのフリーキーな名曲“We At It Again”など聴きどころだらけ。

 

VARIOUS ARTISTS 『Exit Wounds』 Blackground/Empire(2001)

スティーヴン・セガールとDMXが主演した映画「DENGEKI 電撃」のサントラ。主軸はドラッグ・オンやビッグ・スタン、アイスバーグ(後のヤング・バーグ)らDMX人脈の硬派な楽曲で、東西南のバランスも当時の雰囲気を伝える。ブラックグラウンド組ではプレイヤのエクスクルーシヴ“Incense Burning”が光るほか、集団芸のアウトサイダーズ4ライフやビギー似ラッパーのシンシア、西海岸Gのキャヴィアというアルバム未発表で終わった顔ぶれの録音も貴重か。

 

AALIYAH 『Aaliyah』 Blackground/Empire(2001)

悲劇的な死の1か月前にリリースされた3作目。ティンバランドの参加は冒頭の神秘的な“We Need A Resolution”やシングル・ヒットした“More Than A Woman”など3曲に止まるが、どれも華麗に進化しながら歌の主張も増している。制作面では元アフターマスのブッダやエリック・シーツ&ラプチャー、Jダブも手腕を発揮し、ソングライトではスタティック・メジャーが尽力。彼女にとって初の全米No.1アルバムとなったが、順位がただの数字なのは言うまでもない。

 

TANK 『Force Of Nature』 Blackground/Empire(2001)

もともとジニュワインのバック・シンガーから見い出され、現在も一線で活躍するR&Bシンガーのタンク。レーベルの期待を背負って周到に準備されたこのデビュー作はいきなりR&Bチャート首位に輝いた。ティンバランド人脈に頼らずブッダやエリック・シーツ&ラプチャーら当時のレーベル常連の制作陣が緻密なビートで全面援護し、スウィートな歌声とR指定のフロウで濃密な世界を紡ぐ。セルフ・プロデュースのスロウ“Maybe I Deserve”が大ヒットを記録。

 

TIMBALAND & MAGOO 『Indecent Proposal』 Blackground/Empire(2001)

各曲にゲストを招く構成に様変わりし、コンビ名義の2作目ながらも前作のシンプルさとは異なるオムニバス感を窺わせ、後の『Shock Value』シリーズにも通じる一枚。各々の作品でガッチリ組むピティ・パブロやミス・ジェイド、トゥイート、さらにはティンバの実弟セバスチャンら新顔がフレッシュな存在感を放つ。生前のアリーヤが録音していたスタティック・メジャーとの“I Am Music”も収録。