グラスゴーの人気レーベルLucky Meが、Oneohtrix Point Never、Tim Hecker等現行のオルタナ・シンセ~エレクトロニック・ミュージック界に殴り込みをかけるべく、新人を送り込んできた。Claude Speeedはスコットランドに於けるエクスペリメンタル・シーンでは中心的人物でもあり、本作がデビューアルバムとなる。様々なフィールド・レコーディング、シンセ・ドローン、フィメール・ヴォーカルといった音素材を配置し、フィリップ・グラスの様な畳み掛けるミニマル・サウンド~インダストリアルな重厚なサウンド・スケープまで描き出す、彼の持つパレットと具現力は相当なものだ。
スコットランドのエクスペリメンタル・シーンを牽引してきたクロード・スピードの初作。家族の死をきっかけに旅行しながら採取した多様なフィールド・レコーディングがそのまま作中のストーリーを生成するニューエイジなロード・ムーヴィーで、ライヒやイーノ云々を引き合いに出す前に頬を涙が伝ってしまう。ワープとOPNの成功例を踏襲しようとしてる様子も若干透けて見えるが、そんな勘繰りを凌駕する傑作です。