AOR的な軽さが良いフューチャー・フライト『Future Flight』
――では、2枚目のアルバムをお願いします。
河田「フューチャー・フライトの『Future Flight』(81年)です。

1曲目の“Hip-Notic Lady“が、それこそフリー・ソウルっぽくて、その文脈でも語られている。さっき〈フリー・ソウルを横目で見つつ〉なんて言ったのに、これを選ぶという(笑)。国内では2度目のCD化ですか」
――最初のCD化が2001年でしたね。
河田「ちょうどその頃タワーレコードに入社して、ロック担当になったのですが、当時フューチャー・フライトは知らなかったけど、“Hip-Notic Lady“を聴いて、いいなと。
このプロデュースを手掛けたラモント・ドジャーのソロ作『Working On You』と、ラモントが手掛けたズィンガラの『Zingara』も好きで、この3作は同じ81年のリリースなんですよね。
フューチャー・フライトはボーカルが軽くてAOR的だけど、その軽さがソウルファン以外にも訴求できると言いますか」

――AORっぽいですよね。グループの正体は謎に包まれているのですが、声の青臭さや爽やかさからして、おそらく白人、もしくは白人を中心としたグループだと思われます。そういえば、国分寺に〈Future Flight〉っていうソウルバーがありますけど。
田之上「まさに、マスターの谷田部(博義)さんにお願いして、タワーレコードでコンピレーション『IN THE CITY – Soul Mastercuts』(2021年)を作りました。“Hip-Notic Lady“が最後に登場します」
サム・ディーズにハズレなし! ロッキー・ロビンズ『You And Me』
――では、河田さんが選ぶ3枚目のアルバムを教えてください。
河田「ロッキー・ロビンズの『You And Me』(80年)です。これもフリー・ソウルっぽいですね(笑)。結局、フリー・ソウルが好きなんですね(笑)」

田之上「タイトル曲は『Free Soul Parade』(95年)に入ってましたよね」
河田「入ってました。ただ、個人的なハイライトはサム・ディーズが書いた曲です」
河田「いや、ほんとにサム・ディーズが書く曲はハズレがないんですよ。モダンディープと言いますか、本人が歌う“The Show Must Go On”(75年)も好きですが、特にソングライターとしてのサム・ディーズは最高で。『You And Me』ではサムが書いた2、3、4曲目が好きです。特にラリー・グラハムと共作した4曲目の“Girl I’m Gonna Get Ya”がいいですね。
アルバムのプロデュースは(フィリーソウルの名匠でもある)ボビー・マーティン。“Point Of View”はリオン・ウェアが書いていますし、ロッキー・ロビンズの曲はメロウなんですよ」

――マイケル・ストークス、ラモント・ドジャーときてサム・ディーズ、ボビー・マーティン、リオン・ウェアって……これはもうソウルバーでする話ですよ。今から場所変えますか?
一同「(笑)」