そんなわけで……ラインナップを駆け足で紹介しておこう!
1. YAZZ AHMED “It”
ヤズ・アハメドは2019年にリーダー作『Polyhymnia』(Ropeadope)を発表しているバーレーン出身のトランぺット/フリューゲルホルン奏者で、レディオヘッドやエヴリシング・イズ・レコーデッドとの共演経験もある注目株だ。チック・コリアによるオリジナルはソリッド・ステイト原盤の69年作『Is』(Solid State)に収録されていた。
2. CONOR ALBERT “You Make Me Feel So Good”
FKJやトム・ミッシュの影響が濃い南ロンドン出身のコナー・アルバートはサブスク人気も絶大なマルチ演奏家で、4月の『Collage 2』に至るまでコンスタントに作品を配信中。マイゼル兄弟による原曲はボビー・ハンフリーの75年作『Fancy Dancer』収録の人気曲だが、コナー版のメロウネスも実にいい!
3. PARTHENOPE “Don’t Know Why”
オリジナルはもちろんノラ・ジョーンズの2002年作『Come Away With Me』より。ここでカヴァーするパルテノペはノラ近作にも関わるトーマス・バートレットのユニット……のほうではなく、リーズ出身の女性アーティスト。セレステの曲に参加しているサックス/フルート奏者のようだが、歌声もこんなに麗しいのか。
4. SWINDLE “Miss Kane”
スウィンドルはダブステップから生音のファンクやフューチャー・ジャズに移行してロンドンの才人で、昨年の『The New World』(BMG Rights)に至るまで自作を発表する傍ら、コージェイ・ラディカルらのプロデュースでもお馴染み。ネタ使用例も多い原曲はドナルド・バードの73年作『Street Lady』に収録。
5. NUBIYAN TWIST “Through The Noise (Chant No. 2)”
ドナルド・バードの63年作『A New Perspective』からのナンバーを猥雑なグルーヴで聴かせるのは、マルチ演奏家のトム・エクセルを中心とするロンドンの10人編成アフロ・ジャズ・バンド、ヌビヤン・ツイスト。2021年作『Freedom Fables』(Strut)に客演していたリア・モランはここでもヴォーカルを交えている。
6. EGO ELLA MAY “The Morning Side Of Love”
チコ・ハミルトンの75年作『Peregrinations』に収録されていたオリジナルを独特の空気感を湛えたヴォーカル世界へと再解釈して聴かせるのは南ロンドン出身のエゴ・エラ・メイ。ヌビヤン・ツイストやブルー・ラブ・ビーツ、セオ・クロッカーの楽曲に客演するほか、2019年の『So Far』(Tru Thoughts)などソロ作品も大注目のジャジーな期待株だ。
7. OSCAR JEROME “(Why You So) Green With Envy”
オスカー・ジェロームはココロコなどでも活動した南ロンドン拠点のギタリストで、2020年のソロ作『Breathe Deep』(Caroline International)にてネクスト・トム・ミッシュ的なマルチ志向を露わにしてきた逸材だ。原曲はグラント・グリーンの61年作『Green Street』収録で、ここではオスカー・ワールドピースのラップも効果的。
8. DANIEL CASIMIR feat. RIA MORAN “Lost”
ヌバイア・ガルシアやビンカー・ゴールディング作品でも演奏するダニエル・カシミールはロンドンの敏腕ベーシスト。最新作は今年リリースの『Boxed In』(Jazz Re:freshed)だが、そこで歌うリア・モランをこちらでもフィーチャーしている。ウェイン・ショーターの原曲は65年に録音され、79年の『The Soothsayer』で世に出た。