(左から)齊藤健太、馬場智章

*202212月25日追記
2022年12月3日に開催を予定されていた〈珠玉のリサイタル&室内楽 齊藤健太 × 馬場智章 Special Saxophone Night〉は、出演者の体調不良に伴い、延期になりました。振替公演日は2023年1月29日(日)です。12月3日のチケットをお持ちのお客様は、1月29日の公演にご入場いただけだけるとのことです。チケットの払い戻しなどについては、下記のヤマハホールのオフィシャルサイトか、チケットぴあのヘルプページをご覧ください。 *Mikiki編集部
https://www.yamahamusic.jp/shop/ginza/hall/event/detail?id=2758


 

12月3日。この覚えやすい日にちに、クラシックサックス界の俊英とジャズサックス界の俊英が実に興味深いコンサートを開催する。題して〈齊藤健太 × 馬場智章 Special Saxophone Night〉。〈第7回アドルフ・サックス国際コンクール〉(2019年)で1位に輝いた齊藤と、現代ジャズサックス界を牽引する馬場という、俊英同士の顔合わせだ。当日はさらにピアノのAKI マツモト、壺阪健登、ベースの小川晋平、ドラムスの小田桐和寛も参加。東京・銀座の名門ヤマハホールを舞台に、クラシックとジャズの間に鮮やかな橋を架けてくれることだろう。

サックスによる〈音の会話〉はコンサート当日のお楽しみとして、ここでは齊藤健太と馬場智章に、言葉で存分に語っていただいた。


 

同年代だが異なるジャンルのサックス奏者

――サックスファン、ジャズファン、クラシックファン以外も巻き込むこと間違いなしの興味深い一夜になると思います。共演コンサート開催のいきさつについて教えていただけますか?

馬場智章「普段はクラシックの皆さんと交流を持つ機会があまりないので、タイミングが合ったら齊藤くんと会ってみたいとは思っていました。同年代ですし、齊藤くんと僕の楽器をメンテナンスしてくださっている方が一緒ということもあって、会って普段の練習や楽器に関して訊いてみたいなと思ったのが最初ですね。それから徐々に共演の話へと進みました」

齊藤健太「同じサックスという楽器を演奏する者として、ジャズプレイヤーに対するリスペクト、憧れは以前から持っていましたし、ジャズの方が例えばどんな基礎練習をしているのかなどが気になっていたので、馬場くんと話す機会ができたことがすごくうれしかったですね」

――お互いの演奏を聴いた時の印象はいかがでしたか? 同じサックスという楽器でも、ジャズとクラシックではアプローチが異なると思うんです。

馬場「一緒に顔合わせした時にちょっとスケール(音階)を吹いてもらっただけでも、楽器のコントロールというか、説得力がすごくあるなあと思いました。僕はいろんなジャズのサックス奏者を聴いてきましたが、もちろんそれとは全然違うタイプで、〈すごいな!〉という印象です」

齊藤健太のライブ動画。ピアノはAKI マツモト

齊藤「僕はもともとジャズも好きで、先日は馬場くんのライブに行きました(2022年6月30日に東京・丸の内COTTON CLUBで開催された〈馬場智章“GATHERING”〉)。世界観を作っていくというか、会場そのものを自分の世界に引き込んでいくような力を感じました。

奏法については、もちろんクラシックとはまるっきり違うアプローチをしていますので、それもすごく興味深かったですね。ジャズプレイヤーはフレーズのボキャブラリーも多いですし、クラシックだけ演奏していたら絶対たどりつけない場所にいるなと感じました。それは音の出し方とか、抑揚の付け方とか……。馬場くんが持つあのジャズサックスの発音の種類の多さはすごいですよ。〈ああ、なるほど!〉と思ったり、〈クラシックにも取り入れられないかな〉と思いながら聴いていました」

馬場智章の2022年作『Gathering』収録曲“Four Arrows”

――齊藤さんはジャズサックス奏者の佐藤達哉さんに師事なさったこともあるとうかがいました。

齊藤「(大学の)専攻にジャズサックスがあったので、せっかく習えるなら習いたいなと思ったんです。アドリブをとるまでには行かなかったんですが、ビブラートのかけ方やジャズのイントネーションを教えていただいたりしました。

僕が学生時代に一番楽しかった〈お題〉は、アート・ペッパー(1950~80年代に、主にアメリカ西海岸で活動したジャズのアルトサックス奏者)のコピーです。一ヶ月以上かかって課題をどうにか乗り越えた感じですね」