メンバー3人の関連書も紹介しよう。最近、書店に赴くと、高橋幸宏と坂本龍一の追悼コーナーを設けているところが多いことに気づく。高橋幸宏関連書籍としては、プロデビュー50周年を迎えた昨年のアニバーサリー本「LOVE TOGETHER YUKIHIRO TAKAHASHI 50TH ANNIVERSARY」、「サウンド&レコーディング・マガジン」の記事の再録を含む追悼ムック「高橋幸宏、音楽家の肖像」が現在手に入れやすい。
坂本龍一の本では、最晩年までのことを綴った自伝「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」が6月に刊行された。それ以前のYMO期などを含む半生は、文庫化された「音楽は自由にする」で読むことができる。インタビューを独自の観点で編集したちくま文庫の「skmt 坂本龍一とは誰か」や、NHK Eテレ「スイッチインタビュー 坂本龍一 × 福岡伸一」の書籍化「音楽と生命」では、坂本龍一の思想や哲学に触れることができるだろう。
「ミュージック・マガジン」以外の各音楽誌も、坂本龍一追悼号を相次いで出している。「別冊ele-king 坂本龍一追悼号「日本のサカモト」」、「SWITCH Vol.41 No.7 特集 坂本龍一 Ars longa, vita brevis. 芸術は長く、人生は短し」のほか、映画誌「キネマ旬報 2023年6月下旬号 No.1924」は〈坂本龍一と映画と音楽〉を特集。「芸術新潮 2023年5月号」も追悼号として話題になったが、TOWER RECORDS ONLINEでは現在在庫切れ。雑誌は手に入る期間が限られているので、購入や注文はお早めに。
細野晴臣も著作・関連本が数多いので簡単な紹介に留めるが、鈴木惣一朗との対談(雑談)集「分福茶釜」「とまっていた時計がまたうごきはじめた」、深い自己省察をおこなった「アンビエント・ドライヴァー」(解説はTOWA TEI、帯文は小山田圭吾)、旅をテーマにした「HOSONO百景 いつか夢に見た音の旅」あたりはよく知られているはず。
それ以外にも、門間雄介による評伝「細野晴臣と彼らの時代」、話題になった展示の図録の増補新版「細野観光1969-2021 細野晴臣デビュー50周年記念展オフィシャルカタログ」、細野サウンドの謎に迫る「細野晴臣 録音術 ぼくらはこうして音をつくってきた」、映画と映画音楽についての「映画を聴きましょう」、夢日記+短編小説集の異色作「細野晴臣 夢十夜」など、枚挙に暇がない。
以上、YMOとメンバー3人の関連書籍の中から、いま手に入れやすい近刊を紹介してきた。YMOを音やビジュアルだけではなく文字からも知ることで、その音楽への理解はさらに深まるはず。YMOの世界を本でもぜひ楽しんでほしい。