アメリカ・ヴァージニア州育ちのSSW、Kali Uchisの4枚目のスタジオアルバム。彼女の出身国のコロンビアの国花の蘭をタイトルにした本作は、全曲スペイン語で歌唱しています。メロウなR&Bトラック“Young Rich & In Love”やKarol Gをフィーチャーしたラテンポップ“Labios Mordidos”、ラッパーのRauw Alejandroとのコラボ曲 “No Hay Ley Parte 2”がオススメ。多彩で甘美なトラックを楽しめます。約2年間でテイストの違うアルバムをリリースできる彼女の多才さに驚くばかりです。

 


傑作『Red Moon In Venus』(2023年)から1年弱で届いた2枚目のスペイン語作は、SZAで知られるカーター・ラング、テイラー仕事でまた名を高めたサウンウェイヴ、アフロビーツの名手P2J、ディラン・ウィギンスらを軸に制作。デンボウの“Muñekita”などもありつつ、シンセで浮遊する冒頭の“¿Cómo Así?”やペソ・プルマと絡む“Igual Que Un Ángel”などの軽やかなキャッチーさは先鋭的な現行ポップのド真ん中を行く。カロルGやラウ・アレハンドロも客演。もはや英詞でモダンさを表現しつつスペイン語では伝統に回帰……なんて時代じゃないことを改めて実感させてくれる今年のベスト候補。