当日の位置取り
メタルもジャズも、私は音を最優先に聴きたいので、大体においてハコのうしろの方に陣取ります。
メタルの場合、私は体が小さいので、圧縮されそうな場所には絶対行きません。モッシュやサークルピットができているのを2階から眺めるのは好きです。
大きなライブでは、サークルピットなどで交通整理をしている人がいますよね(笑)。それに、転倒した人を拾い上げる人とか、周りで不本意に巻き込まれる人が発生しないようになんとなくガードしている人とか、ああいうのを見ていると、メタルファンのコミュニティ意識というか、皆が気持ちよくライブを終えることがバンドへの応援だ!という意識が共有されている感じが、見ていて気持ちいいです。
一度、ある2,500人規模のメタルのライブで整理番号1番を引いてしまったことがありました。そのライブは、絶対モッシュがきついので、整理番号を呼ばれた時は「死んでこーい!」と待っているファンの中から掛け声がありましたが、私は日和って最前列は取りませんでした(笑)。
ジャズのライブハウスの場合は、私にとってはステージ中央に対して一番後方がベストです。私は特に奏者の手指などを見たいこともないですし、ミュージシャンはその箱の大きさにちょうど合う音量で演奏しているはずで、PAもそう合わせているはずなので、後方にしています。
飲食のできるジャズライブハウスは、他人の視界に入らず自分のペースで食事ができる、というメリットもあります。
ジャズは毎秒毎瞬違うことを演奏するし、アイコンタクトやコミュニケーションも面白いし、今ここで熱量を持って楽器を操っている奏者のパフォーマンスに注目したい方は、前に座る方が多いです。それもジャズをライブで〈見る〉面白さですね。
開演!
開演したら、メタルもジャズも楽しむだけなんですが、ここが、自分でも〈同じ人間なのか〉と思うぐらい、全然違う楽しみ方をしています。
メタルの場合。
先に書いたとおり、モッシュに突っ込んでいくことはないのですが、演者と会場の一体感を何より楽しんでいます。言い方はあれですが、〈長いものに巻かれる快感〉っていうのがあって、圧倒的なパワーと演奏に全てを委ねてしまうことは本当に気持ちがよくて、でもどこかで〈今私は長いものに巻かれているぞ〉〈思考停止という気持ちいいところにいるぞ〉と少し冷静な部分を残すようにして、楽しんでいます。まあ、大概忘れてますけどね(笑)。
一緒に体を動かすとか、一緒に合唱するとか叫ぶとか、ただ少しジャンプしているだけでも、皆で一つになっているのって気持ちいいんですよね。
こういうライブ映像を見ると、うわーここにのまれたい!と思いますよ。
それに加え、私は〈ギターヒーローにひれ伏したい欲〉があるので、好きなギタリストの時は、わりと周りの人が引くぐらい、ギタリストをガン見している時があります。ミュージシャンとして真剣に見てしまう人がいて、キコ・ルーレイロ(アングラ/ex-メガデス)は何度も生で見てるんですけども、いつでもガン見しています。
イングヴェイ・マルムスティーンのライブも何度も行ってますが、イングヴェイに気持ちよく弾いてもらうために会場一丸となって盛り上げている感じがもう面白すぎて、イングヴェイに対するファンの愛情も感じて、ライブって良いなあといつも思いますね。今月の突然の来日ライブには行けなくて残念でした!
ジャズの場合は、意外と奏者のことは、そこまで見ていないかもしれません。目を瞑って聴いていることもあります。
ただ、聴きながら、ずっと頭をフル回転させて、何かを考えています。
これは私も奏者だからという事情もあると思いますが、奏者だからといっても音をその場で分析して聴くようなことは全くしていなくて、演奏によって想起される別のことを考えたり、奏者の気持ちの流れみたいなものを一緒になって感じて、アンサンブルにライドしている感覚があります。
5年ほど前に、京都でアーロン・ゴールドバーグ・トリオを聴きに行った時、たまたまピアノの真後ろの席、3歩前に出ればピアノに触れられるぐらい近くに座ることになってしまって、〈普段ピアノに座ってバンドを見る目線〉とほぼ同じ場所でライブを聴いたんですね。そうしたら、耳から入ってくる音の情報が、信じられないぐらい当事者目線になったんですよ。
そりゃそうですよね、普段ライブしている時と耳と目の位置が近いので、ベースの音もドラムの音も、共演者として入ってくるような感覚になって、ライド感が半端なかったです。自分も一緒にアンサンブルしているような情報量で、このトリオの面々が素晴らしい達人だということを体で感じました。