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エイフェックス・ツインの名を一躍高め、かつ電子音楽の歴史に燦然と輝き続けるであろう大傑作。〈アンビエント〉と括るには何かがゴッソリ抜け落ちているような、信じられないほどに美しくて無邪気で残酷な、どこにもなかった楽曲の結晶体。お馴染みのロゴも初登場。 *石田
大傑作〈Selected~〉の第2弾という周りの過剰な期待をスカす(これ得意技ね)ように、曲名は写真、楽曲はリチャードの心象風景をそのまま音にしたような、静謐で不穏なアンビエント音響スケッチ集。しかも2枚組。沈黙をあえて音で表現したかのごとき極北感。 *石田
いかにも〈テクノ〉然としたキュートなジャケが、もはや表題とは違う意味でもクラシック。問答無用の“Digeridoo”(92年)や後に連作となる“Analogue Bubblebath”(91年)など、初期音源を収めた重要なコンピで、モンスター化する前の彼のピュアネスを勝手に想像したくなる。 *香椎
この後から露悪化が過剰に進行する顔ジャケ第1弾。先行シングル“Ventolin”は超重厚インダストリアルの極北。ドリルンベース導入直前の歯切れ良くデタラメに疾走するリズムと、分別のあるメロディーがいま聴くと意外に(当然リチャード基準では)ポップだったりして。 *石田
見てみ、この顔! 本名を冠した作品でこのジャケは流石。AFX名義作で導入したドリル節を発展させた名曲“Girl/Boy Song”に代表される、澄みきったメロディーと暴走するリズムは、いわゆる〈エレクトロニカ〉のひとつのフォーマットとなるリリカル・ドリルンベースの境地へ。 *石田
“Come To Daddy”も“Windowlicker”も遠い過去に過ぎ去り、誰も期待していない時に突如リリースされた2枚組。前作と同路線のリリカル・ドリルンベースと寂しげなピアノ小曲が交互に続く構成。新路線への期待をまたスカすも、実はいちばん人間味がある作品かも? *石田
皮肉……というか、中2病っぽい表題も微笑ましい、カネのためにやったった仕事集。ナイン・インチ・ネイルズ、BUCK-TICK、竹村延和、シーフィールらに施したリミックスや自身の未発表曲が無造作に並んでいるが、やはり93~96年の彼がノリノリだったこともわかる。 *香椎
95年の限定EPシリーズ〈Hangable Auto Bulb〉の2枚が唐突にCDにコンパイルされた便利皿。時系列で言うなら『Richard D. James Album』の前段階にあたるもので、いま聴くとドリルン前夜のマイルドなブレイクコアという印象もある、刺激的なポップ・エクスペリメントすな。 *香椎
前年に11枚連続でアナログ・リリースされた〈Analord〉シリーズの収録曲から、本人が10曲を選んでリアレンジなども加えつつCD化。アンビエントとアシッドを主軸にスクエアなビートも閃く。『Syro』に先駆ける公式の音源としてはこれが長らく最新のものだった。 *香椎