DISCOGRAPHIC AVRIL LAVIGNE
アヴリルを知るための7枚
カナダで生まれ育った10代のカントリー・ガールが、まだ売れっ子になる前のマトリックスと組み、2000年代初頭のオルタナがポップ化していく空気をめいっぱい取り込みながら制作したファースト・アルバム。グランジ的なダイナミズムをウェルメイドに昇華した“Complicated”、爽快なパンク“Sk8er Boi”など、とにかく鮮烈!
アラニス・モリセットに影響を受けたフォロワーとしても同郷の先輩にあたるシャンタール・クレヴィアジックと多くの楽曲を共作した2作目。ブッチ・ウォーカーや元エヴァネッセンスのベン・ムーディーらも招かれ、音作りはヘヴィーかつダークに。グッド・シャーロットの同年作などと並び、漆黒のアイラインとゴスな空気を共有していた。
〈楽しくて明るい音楽を作りたかった〉という言葉通り、以降の作品を含めても、もっともポップで弾けた印象を与える3作目。初の全米No.1シングルとなったDrルーク製のパワー・ポップ“Girlfriend”やMVでチアガールに扮した表題曲などを擁し、突き抜け感が実にチャーミング。トラヴィス・バーカーも数曲でドラムを叩いている。
グランド・ピアノの上にオフホワイトのドレス姿で座る姿からも、過去作とムードが異なるのは歴然。離婚したデリック・ウィブリーとの共作曲が約半数を占め、内省的でスロウなサウンドが悲しみと孤独に寄り添う。初顔合わせのマックス・マーティン&シェルバックは“What The Hell”などラジオ・フレンドリーなサウンドを提供。
当時の夫、ニッケルバックのチャド・クルーガーが多くの楽曲に関与していて、ビール片手に合唱したくなるアメリカン・ロックが中心……という面もありつつ、日本語の歌詞も飛び出すエレクトロなキティちゃん讃歌やマリリン・マンソンを迎えた“Bad Girl”など、振り幅の広さではキャリア随一の5作目。 いろいろな表情が愛らしい。
2014年に診断されたライム病との闘い、そこから回復していく際の心境がストレートに綴られた6作目。アレサ・フランクリンなどの往年のソウル曲を下敷きにした“Tell Me It’s Over”、フォーキーな“Goddess”などで歌い手としての成熟を見せつつ、ニッキー・ミナージュとの“Dumb Blonde”などキュートな姿が健在なのも嬉しい。
最新作にして7作目は、キャリア史上もっともポップ・パンクへと振り切ったアルバム。ジャンルのリヴァイヴァルとは別アングルでの彼女自身への再評価にも加速させられたのか、エネルギーに満ち溢れている痛快作だ。マシン・ガン・ケリーやブラックベアらエモ・ラップ以降のパンクスたちを従える姉御っぷりも頼もしい!
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COMPILATION
12” Masters Essential Mixes: Avril Lavigne(2010)
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