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〈赤い渡り鳥〉を歌う、クワイアに彩られた“∞”

――“∞”も冒頭から少年少女合唱団的なクワイアが聞こえてきますね。

HAYATO「この曲はサビを強く打ち出すこと、あとはピアノを綺麗に聞かせたという考えがあったんです。まずは子供たちのクワイアを使えないかなと思って作り始めて。ただ、音源をそのまま聴かせるのもおかしいので、デジタルなサウンドと混ぜてできたのがこのイントロです。

そこから進んで……全体像を考えながら作ってないんですよ。何の計画もしないでトンネル掘り始めて、何とかゴールできました(笑)。仕上がったのもアルバム制作の最後でしたね」

TORU「デモはフルコーラスであったんですけど、シンセアレンジが進まない中で、ギターを先に録らなきゃいけない状況だったんです。不思議なことに音が埋まってない中でも、必要最低限の音と歌だけで十分、説得力があって。その中でどうギターを表現したら、この世界観がよりよくなるか、それだけを考えました」

――ということは、歌録りはギターの録音前に終えていたわけですね。

HAYATO「ベースとドラムと歌メロしかない状態で歌ってもらったんです」

HARUKA「ほぼ何もないトラックでした(笑)」

HAYATO「(エンジニアの)Hiroさんもびっくりしてました(笑)」

――よく歌詞が書けましたね(笑)。

HARUKA「本当ですよね(笑)。TEARSではこういうことがよくあるんですけど、早いもん勝ちなんですよ。たとえば、私が歌詞を書いたら、それを踏まえてアレンジも変化していったり」

HAYATO「だから、言葉数の関係で歌メロをいじることも多いよね」

――“∞”の歌詞はどういう光景を思い浮かべたんですか?

HARUKA「情景的に、羽がふわふわしてる感じがいいなって。そこで羽=鳥だろうと。歌詞を書くとき、すでにジャケットも出来上がってたから、タイトルにできるような赤い渡り鳥を探したんですけど、見つからなかったんです。鳥が羽ばたいていくテーマで歌詞も書いちゃってたから、“∞”というタイトルは本当にこれでよかったのかと今でも悩んで……ってもう遅いんですけど(笑)。だから、現実に存在しない赤い渡り鳥のイメージで書きましたね」

 

“Mörder”におけるクワイアの爆発とHARUKAの技巧的な歌

――“Mörder”は不気味な雰囲気も漂わせていて、序盤からアグレッシブに攻めていきますね。

HAYATO「速攻でびっくりさせるテンションにしたいと思ったんです。クワイアを押したかったので、バイオリンなども精密にアーティキュレーションを考えたんですけど、最終的にクワイアを大爆発させたいなと。なんだったらボーカルよりクワイアを主役にしてもいいんじゃないかと考えて作った曲です(笑)。Aメロ、Bメロときて、もう一つ展開があってサビに行くんですけど、そこもボーカルのメロディーを最後に考えてますから。それより先にクワイアの強いパートを作って、ボーカルがそこに絡むように考えて」

――歌うのは大変そうですよね。

HARUKA「プリプロで録ったテイクを、そのまま本番用にOKにしました」

HAYATO「だから、レコーディングの本番当日はハモりだけ録ったんじゃなかったかな。プリプロでだいぶ苦しんではいたけど、いいテイクだなって」

――今回のアルバムは、歌が全般的に難しいと感じるんです。メロディーとリズム、展開が思っている以上に細かいですから。

HARUKA「多分、リスナーが聴いて感じる以上に難しいと思います(笑)。TORUさんが言ってたけど、私の歌声って、あんまり難しそうに聞こえないらしくて(笑)」

HAYATO「高く張って歌っている感じがしないというか」

HARUKA「みんなに歌ってみてほしい(笑)。YOASOBIほど難しくないかもしれないけど(笑)」

HAYATO「ボカロ的な、器楽的なメロディーなんですよ。もったいないですね。YOASOBIは〈すごいメロディーを歌ってるね!〉と褒められるけど、HARUKAは褒められない(笑)」

HARUKA「褒めてもらえない(笑)」

――ここで褒めておきましょう(笑)。ギターはどのような取り組みでした?

TORU「“Mörder”に関しては〈無茶させやがって〉って感じですかね(笑)。速さは気合で解決できるんですけど、クラシカルなテイストが溢れているので、ギターで表現するのは難しかったです。“Eternal”も“∞”もそうなんですけど、コードの構成音を絶対に間違えてはいけないという。なぜこう聞こえるのか、分析しながらギターを合わせにいきました。

ギターはピアノほどたくさんの音を同時に鳴らせないので、どの音を選んで弾いくのが曲に合うのか、コードチェンジするたびに悩んで。たとえばオンコードにしても、ギターの場合、ピアノのように左手で鍵盤を押さえたまま、右手を動かすという風にはできないですから。その中で、激しい曲なので、いかにリズムを刻めるかに挑戦しました」