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人生の物語を共有できる古典詩 × ジャズ

――台湾人からはどのような反応がありますか?

ケイトリン「多くの場合、〈なぜ古典詩をジャズで歌うの?〉と奇異の目で見られるか、絶賛してくれるかの2パターンです。

面白いエピソードがあります。通常はライブを行っていないバーでライブを行った際、常連らしき年配の男性がいたんです。彼は、“Blue Collar 子伶”を聴き、〈40年前、私はある女の子に恋をしていたのですが、実りませんでした。最後に、彼女はこの詩をノートに書き、私に手渡したんです。そんな思い出が蘇ってきました〉と言いました。素晴らしいことです。私たちの音楽を聴いた人が、人生の物語を共有してくれるのですから」

――いい話ですね。“Blue Collar”はニューアルバム『Then And Now 溯』でラストを飾る曲です。本作ではどのような詩が取り上げられているんですか?

ケイトリン「『詩経』の中でも最も古いものの一部です。『A Different Destiny』では3つの詩しか使用しておらず、歴史的・文化的な調査も徹底していませんでした。また、見た目がクールな詩を優先しており、テーマの多様性が欠けていました。

今回は、レン博士とリアン博士のサポートを受け、詩の解釈が歴史的・文化的に正確であることを検証しました。テーマの幅も広がっています。例えば、2曲目の“Then And Now 權輿”は、過去の栄光と現在の苦しみを対比させています。一方、3曲目の“Ten Acres 十畝之間”は、田舎生活のシンプルさと平和を称賛する内容です。恋愛にとどまらず、さまざまなトピックを扱っています。

“Wild Winds 終風”の元となった詩の作者は、中国文学で記録された最古の女性詩人とされています。女性視点で書かれた最古の物語の一つと考えられる貴重なものです」

 

ジャズの世界地図に台湾を載せたい

――『Then And Now 溯』には、ジャズと呼んでいいのかわからない瞬間もあります。なので、〈詩をジャズで解釈〉しているというより、〈詩を音で解釈〉しているように受け取れるんです。ジャズバンドを名乗っている以上、ジャズが軸にあると思うのですが。

ケイトリン「ジャズのように聞こえなくても問題はありません。曲を作る時も、ジャズであることにこだわらず、自然と出てくる音楽を大切にします。マットがメロディを書くときや、アレンジをするときも同じです。

それでもすべての曲でインプロビゼーションがあるため、それがZy The Wayの音楽をジャズたらしめる決定的な要素だと思います。私たちは全員ジャズミュージシャンとして訓練を受けているので、無意識に出てくるのかもしれません」

――アジアの要素を持ち込む上で、メロディーの工夫はしましたか?

ケイトリン「客家や台湾のメロディーなど、中国語で歌われる音楽に適した音階を参照していますが、さりげなく取り入れています」

――ペンタトニックスケールなど、アジア人に響きやすい音階があるのは面白いですよね。

Alix「私が日本の音楽を好きになった理由もそこにあります。特定の国や地域で使用されている音階は、その土地の文化だと言えます。ヨーロッパ文化は歴史的にアフリカとの交流がありましたし、北米は南米との交流も盛んです。しかし、アジアは西洋から離れており、影響が少ないため、文化的な独自性も高い。だから、この10年近く、日本のみならず、韓国や中国など、アジア音楽への関心が高まっているのだと思います」

――そういう観点でも、Zy The Wayの音楽は魅力的ですね。

Alix「好奇心が刺激されます。そもそもジャズを英語以外で歌うこと自体、勇気のある行為です。結果として、生み出される音楽は、慣れ親しんだ西洋の音楽と似ているようで、何かが違う。それは日本のシティポップに魅了される感覚に似ています。そういった音楽を聴くのはいつだって新鮮ですから」

――最後に、今後どのような活動を目指していますか?

ケイトリン「ジャズの世界地図に台湾を載せたいんです。私たちのコンセプトとサウンドは強力ですし、アジアの即興音楽の柱になれると信じています。そして、引き続き中国古典詩の美しさを共有し、素晴らしい音楽を作りたいと思っています。将来的には、歴史をさらに掘り下げ、特定の時代やテーマに焦点を当てるかもしれません。また、もっと国際的な公演ができればと願っています。日本で演奏したり、日本人とコラボしたりしたいですね!」

 


RELEASE INFORMATION
Zy The Way 中庸『Then And Now 溯』

リリース日:2024年11月22日(金)

TRACKLIST
1. Sun in the East 東方之日
2. Then and Now 權輿
3. Agile 還
4. Wild Winds 終風(Poetry 朗讀)
5. Wild Winds 終風
6. Wedding Night 綢繆
7. Ten Acres 十畝之間
8. A Hermit’s Hut 考槃(Poetry 朗讀)
9. A Hermit’s Hut 考槃
10. Blue Collar 子衿

 

■Zy The Way 中庸
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