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日本語ロックの西日、台風クラブ

出演するのは台風クラブ、家主、本日休演、天国旅行(オープニングアクト)というNEWFOLKに所属するアーティストたちと前野健太、and Young...の6組(元々、三輪二郎バンドが出演予定だったがキャンセルになった)。DJは入岡佑樹(Super VHS)が務める。各出演者を紹介しよう。

台風クラブは石塚淳(歌とギター)、山本啓太(ベース)、伊奈昌宏(ドラムス)の3人組。現在のメンバーで活動を始めて10周年で、京都の縁あるライブハウス拾得でワンマンライブを開催したばかり。10周年について特に感慨はなく、ワンマンライブにも消極的だった、という態度が実に彼ららしい(2月に掲載したインタビューを参照のこと)。

台風クラブは、2015年に手売りや限定店舗での販売をおこなっていたCD-R『ずる休み』がじわじわと話題になり、2017年に1stアルバム『初期の台風クラブ』をリリース。NEWFOLKクラシックと言ってもいい同作はCD、LPともにプレスを重ねるロングセラーになっている(須藤いわく「廃盤にしない」)。“台風銀座”“ついのすみか”“ずる休み”“処暑”“飛・び・た・い”など〈初期の台風クラブ〉の代表曲を詰め込んだ1stにしてその時点でのベスト的な内容のアルバムは、今も人々に愛されつづけている。そして2023年には、待ち望まれた2ndアルバム『アルバム第二集』を発表。独自のペースで活動を続けているが、現在はライブで“京都市南区”などの新曲を披露しており、次の録音作品への期待も高まっている。

台風クラブの最大の魅力の一つは、なんと言っても、いわゆるシティポップやソウルなどからの影響も窺える石塚の一筋縄ではいかないソングライティングだろう。端的に言ってメロディメイカーで、ドライさとセンチメンタルな面が絶妙に同居した台風クラブの曲は一聴してすぐに聴き手の胸を打つ力を持っている。演奏からはパンクやガレージロック、インディロックなどへの偏った愛(時にストレートなオマージュ)が垣間見えつつも、ライブでは3人が一丸となって突き進んでいく圧倒的な熱でフロアを巻き込みながら、総体としてポップスになっているところが台風クラブが台風クラブたるゆえん。また〈日本語ロックの西日〉というのは彼らのキャッチフレーズだが、捨て鉢でやけっぱちな顔を覗かせる石塚のやるせない詞も聴き手を惹きつけてやまない。

 

情熱的なギターと息の合った演奏で聴き手を圧倒する家主

家主は『生活の礎』(2019年)、『DOOM』(2021年)、『石のような自由』(2023年)と3作のアルバムをリリースし、オーディエンスの輪を着実に広げてきたバンド。ソロアーティストとしても活躍する田中ヤコブ(ボーカル/ギター)、そして田中悠平(ボーカル/ベース)、谷江俊岳(ボーカル/ギター)、岡本成央(ドラムス)の4人組だ。

田中ヤコブの巧みなソングライティング、田中悠平と谷江が書く曲、それぞれのボーカルがもたらす幅の広がりは、家主らしさの一つだ。ライブではシンガロングもされる定番曲“家主のテーマ”から今のところの最新作『石のような自由』の収録曲である“SHOZEN”“きかいにおませ”まで、田中ヤコブのメロディメイカーぶりは際立っている。さらに“オープンカー”のような名曲を書いてきた田中悠平や、“夏の道路端”“庭と雨”など独自のメランコリックな曲を書く谷江の個性があることで、家主の音楽世界は独自のものに磨き上げられている。本音とアイロニーと反語的な表現がないまぜになった歌詞(田中ヤコブの詞には引用符やカッコに入れられた歌われないフレーズが時折表れる)も唯一無二のチャームだ。

田中ヤコブの饒舌すぎる情熱的なギタープレイ、4人の息の合った(時に猪突猛進で突き進んでいく)アンサンブルは、現場で目の当たりにするたびに圧倒される。家主は『INTO THE DOOM』(2022年)というライブアルバムと「May the DOOM be with you -YANUSHI LIVE TOUR 2024 at LIQUIDROOM-」というライブ映像作品もリリースしているが、台風クラブともどもロックバンドの生演奏、その魅力というものを全身でダイレクトに伝えてくれるバンドだ。