ブラジル・ミナス音楽を代表する音楽家ロー・ボルジェスの名盤『A Via-Láctea』をはじめ、マルコス・ヴァーリ、カエターノ・ヴェローゾといったアーティストの名盤がタワーレコード限定で追加プレスされた。一挙15タイトルが数量限定で再入荷している(タワーレコード オンラインの詳細ページはこちら)。今回はこれを受けて、ブラジル音楽に造詣が深い音楽プロデューサー/選曲家の中原仁に各作を解説してもらった。

なお続編として、エリス・レジーナの名盤8作のタワーレコード限定再プレス盤の販売も2026年3月に予定している。映画「エリス&トム ―ボサノヴァ名盤誕生秘話―」の公開も控えているので、あわせて注目してほしい。 *Mikiki編集部


 

ロー・ボルジェスが残した音楽の永遠の鮮度

2025年11月2日、73歳で世を去ったロー・ボルジェスは、ブラジル内陸の高原地帯ミナスの独特の空気感にロックを融合した、稀代のメロディーメイカー。1997年、ソロで初来日公演を行ない(自慢するわけじゃないが僕が企画者)、東京で初対面したローは、素朴で柔和でちょっぴりシャイな万年青年。サッカーが大好きでミナスの人気チーム、クルゼイロの熱烈なサポーターだった。

〈天の川〉と題する1979年のセカンドソロ『A Via-Láctea』は、ローの代表的名盤。兄マルシオ、ミルトン・ナシメントと共作し、ミルトンを中心とするミナスの音楽ファミリーの名前にもなった曲“Clube Da Esquina(街角クラブ)”の“No. 2”には、聴いていると心身が浮遊し昇天できる、甘美なマジックがある。エリス・レジーナも歌った“Vento De Maio(5月の風)”、10代半ばでベト・ゲヂスと共作し、後にデイヴィッド・バーン選曲のコンピ盤『Brazil Classics 1 - Beleza Tropical』にも収録された“Equatorial(赤道)”など、旅気分に誘う名曲が満載。ミナス版「銀河鉄道の夜」とでも言えそうな、ドリーミーな名盤だ。

LÔ BORGES 『A Via-Láctea』 EMI Brazil(1979)

ロー・ボルジェスのコンポーザーとしてのデビューは、18歳を迎える1970年。10歳年上のミルトン・ナシメントが『Milton』で、“Clube Da Esquina”、ビートルズ好きを反映した“Para Lennon E McCartney”など3曲を録音し、ローはギターとボーカルでも参加した。ジャズ好きだったミルトンの音楽に、ローとの出会いを通じてロックの要素が浮上してきたアルバムだ。あらためて、ローが残した音楽の永遠の鮮度を噛みしめたい。

MILTON NASCIMENTO 『Milton (1970)』 Odeon(1970)

なお、1月16日から2月15日までオンライン配信で開催中の〈ブラジル映画祭+〉の上映作品の中に、クルビ・ダ・エスキーナのドキュメンタリー映画「クルビ・ダ・エスキーナの物語 ~すべてはあの街角から始まった~」がある。ロー、ミルトンらのコメントや歌を見聞きできる、ファン必見の映画だ。