革新的なアヴァン・ポップへ
もっとも、アメリカをはじめとする世界的な成功に大きく貢献したのは、2019年に発表されたレゲトン界のスーパースター、J・バルヴィンとのコラボ曲“Con Alture”だ。フラメンコ × レゲトンの折衷サウンドを鮮やかに体現した同曲は、いまやYouTubeで22億回超の再生数を誇るMVの効果もあって視覚と聴覚から人々を魅了した。続いて、プエルトルコ出身のオズナとの“Yo x Ti, Tú x Mí”、トラヴィス・スコットとの“TKN”、ビリー・アイリッシュとの“Lo Vas A Olvidar”、バッド・バニーとの“LA NOCHE DE ANOCHE”など、大物アーティストたちと次々とコラボを展開。このあたりのグローバル規模の快進撃は彼女自身が望んだシナリオだったと思われるが、そこからチャート常連組のポップスターの座に収まるのではなく、次なるサード・アルバム『MOTOMAMI』(2022年)では、とてつもなく革新的なアヴァン・ポップの世界へと飛翔した。
その『MOTOMAMI』では、世界的人気を誇るレゲトンのみならず、カリブ海周辺をルーツとするさまざまなラテン音楽を丹念に堀り起こし、それらを現代的なポップ・エレメントと融合。キューバのボレロやマンボ、ドミニカのバチャータやメレンゲ、ブラジルのサンバやカリオカなどを鮮やかに導入しつつ、もちろんフラメンコのリズム感も忘れない。ワイルドな性描写や“SAOKO”“HENTAI”“CHICKEN TERIYAKI”“SAKURA”といった曲名&リリックのジャパ二メ感の掴みどころのなさも衝撃だった。アルバムからはウィークエンドとの“LA FAMA”、デラックス版『MOTOMAMI+』からも“DESPECHÁ”などのヒットが繰り出された。ちなみに2023年のシングル“TUYA”のMV撮影は東京で敢行。日本愛が溢れ出している。