サブリナ・カーペンター、ディジョン、クリプスらの話題作
小田「王道ポップスという枠では、テイラー・スウィフトの『The Life Of A Showgirl』がリリースされましたが、話題性においてはサブリナ・カーペンター『Man’s Best Friend』の一人勝ちだったかもしれません。前作『Short n’ Sweet』と収録曲“Espresso”で2024年のシーンを席巻し、その勢いのまま2025年のポップアクトとして抜群の存在感を発揮しました」
天野「『The Life Of A Showgirl』はかなり評価が割れましたからね。『Man’s Best Friend』も、サブリナが男性に暴力を振るわれているようなジャケットと性的な歌詞が物議を醸しました。ただ、彼女はあれを皮肉や諧謔で意図的にやっているから、そのまま受け取るのもナンセンスだなと思います。
それと、音楽的にはディスコポップやエレクトロポップ路線のプロダクションがすごくいい。冒頭の“Manchild”“Tears”を聴けばわかるとおり、痛快なポップ作で聴き心地は最高です」
小田「R&B寄りの領域では、ザ・ウィークエンド『Hurry Up Tomorrow』が年始にリリースされたものの、年末にはあまりベストアルバムとして挙げられていなかった印象です。最近、来日して過去に対バンした米津玄師に会ったり、〈劇場アニメ ルックバック展 ―押山清高 線の感情〉を見たりと、アニメ好きアピールはしていましたが(笑)」
天野「彼はアルバムと同名の映画を制作するなど、映像分野への注力が目立ちますね。アニメにも積極的に関わっていきそう。
R&Bといえば、ディジョン『Baby』は去年のベストアルバムとしてメディアとリスナーの評価を独占しました。プリンスの遺産を受け継ぎつつ、エッジーな音色とコラージュ的な編集で魅せた傑作でしたね」
小田「ディジョンは盟友ミック・ギーとともにジャスティン・ビーバー『SWAG』とボン・イヴェール『SABLE, fABLE』という重要作に参加したこともあって、プロデューサーオブザイヤーの称号をほしいままにしていましたね」
天野「ソロアーティストとしてもプロデューサーとしても、今年以降かなり重要な存在になっていきそう。それこそThe 1975が新作を作ったら彼を起用しそうだなー、なんて思いました」
小田「それと、トラップが席捲した2010年代からするとメインストリームで話題になる機会が減ってきたヒップホップですが、昨年のアルバムではプレイボーイ・カーティ『MUSIC』やクリプス『Let God Sort Em Out』が注目されました」
天野「〈出す出す詐欺〉を繰り返して、ようやくリリースした5年ぶりの新作『MUSIC』は、レイジの始祖と言っていいプレイボーイ・カーティらしいバッキバキに歪んだビートとラップが極まった快作でした。
一方、クリプスの復活作『Let God Sort Em Out』は、ファレル・ウィリアムスの洗練されたプロダクションとマリス&プシャ・T兄弟のラップが絶賛されています。自分は2人が頭角を現した『Lord Willin’』や次作『Hell Hath No Fury』に衝撃を受けた世代で、その後のプシャ・Tの活躍も追っていたので、今回の再始動と新作の充実ぶりは嬉しい出来事でした」







