BURNING OFF ALONE!
フー・ファイターズがビッグになれたのは、信頼できるメンバーと出会えたから!

 ここではフー・ファイターズのメンバーを紹介するぞ! まずはフロントに立つデイヴ・グロール兄貴から。実は回遊魚なのでは!?と思うほど常に動いていて、マックス・カヴァレラやレミーも関与するメタル・プロジェクトのプロボット、ジョシュ・オムやジョン・ポール・ジョーンズと立ち上げたサイケ・ブルース・ロック楽団のゼム・クルックド・ヴァルチャーズ、自身の監督作となるドキュメンタリー映画「Sound City: Real To Reel」のために組んだ、チープ・トリックのメンバーやスティーヴィー・ニックスとのユニットなど、FF以外でもリーダーを務めるバンドは多数。加えて、声が掛かればどこへでもすっ飛んで行き(?)、ナイン・インチ・ネイルズやマイケル・ジャクソン、スラッシュにテネイシャスDにキャット・パワーに……と、さまざまな作品でデイヴの名を確認することができる。むろん、このフットワークの軽さ/柔軟性が、『In Your Honor』に代表されるFF作品の懐深さに結実していることは言うまでもなかろう。

ゼム・クルックド・ヴァルチャーズの2009年作『Them Crooked Vultures』収録曲“New Fang”

 で、FFと言えばどうしてもデイヴばかりが目立ってしまうが、後ろを支える面々も凄腕揃い。97年にメンバー入りしたテイラー・ホーキンスは、もともとアラニス・モリセットらのバックでプレイしていたドラマー。その豪快なスティック捌きは圧巻で、ニルヴァーナの幻影を拭い去れなかったFFがアメリカン・ロックの王道を突き進めたのは、誰が何と言おうと彼のおかげだ。自身の率いるコートテイル・ライダーズやバーズ・オブ・サタンでは、よりダイナミックにモダン・ヘヴィネスへアプローチしているので、そちらもぜひチェックしてくれ。そんなテイラーと共にボトムを支えるのが、ベーシストのネイト・メンデル。〈エモ〉というジャンルを全米に広めた、シアトルのサニー・デイ・リアル・エステイトに在籍していた人物で、FFの青い疾走感はこの男によるものではないかと、俺は考えている。

イラー・ホーキンス&ザ・コートテイル・ライダーズの2010年作『Red Light Fever』収録曲“Not Bad Luck”のパフォーマンス映像

サニー・デイ・リアル・エステイトの2000年作『The Rising Tide』収録曲“The Rising Tide”

 さて、元ニルヴァーナ/元ジャームスのパット・スメアと並んでギターを弾く、99年加入のクリス・シフレットも忘れちゃいけない。ノー・ユース・フォー・ア・ネームなどファットレック周りで鳴らしたパワー・コード全開のパンキッシュな演奏により、FFサウンドは切れ味の鋭さを増すのだから! メンバーの信頼も厚く、彼の率いるジャクソン・ユナイテッド作品ではデイヴやテイラーも客演。なお、本隊の2007年作『Echoes, Silence, Patience & Grace』が好きな方には、カントリー・ロック・バンドのクリス・シフレット&デッド・ペザンツを強く薦めておこう。というわけで、〈FF=デイヴ〉と思っている人がいたら、いますぐその考えを改めたまえ!

ジャクソン・ユナイテッドの2008年作『Harmony And Dissidence』収録曲“21th Century Fight Song”

クリス・シフレット&ザ・デッド・ペザンツの2013年作『All Hat And No Cattle』収録曲“Guitar Pickin' Man”

 

▼関連作品

左から、プロボットの2004年作『Probot』(Southern Lord)、ゼム・クルックド・ヴァルチャーズの2009年作『Them Crooked Vultures』(Interscope)、2013年にリリースされたサントラ『Sound City: Real To Reel』(RCA)、ナイン・インチ・ネイルズの2005年作『With Teeth』(Nothing/Interscope)、マイケル・ジャクソンの2010年作『Michael』(Epic)、テイラー・ホーキンス&ザ・コートテイル・ライダーズの2010年作『Red Light Fever』(RCA)、バーズ・オブ・サタンの2014年作『The Birds Of Satan』(Shanabelle)、サニー・デイ・リアル・エステイトの2000年作『The Rising Tide』(Time Bomb)、ジャクソン・ユナイテッドの2008年作『Harmony And Dissidence』(Magnificent)、クリス・シフレット&ザ・デッド・ペザンツの2013年作『All Hat And No Cattle』(Side One Dummy)
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