11作で辿る、ロックのど真ん中で挑戦を続けてきたフー・ファイターズの軌跡
ほぼすべての楽器をデイヴが演奏したソロ・プロジェクト的な趣の初作。“This Is A Call”から“Big Me”まで硬軟自在の楽曲に通じるメロディーの良さがリスナーを驚かせた。誰もニルヴァーナのドラマーがこんな曲を書けるとは思っていなかったのだ。
パット・スメア(ギター)、ネイト・メンデル(ベース)らが加入。バンドとしての第一歩を刻んだ2作目には“Monkey Wrench”“Everlong”という不朽のアンセムを収録。ギル・ノートンによるメリハリの利いた音作りも豪胆なキャラを決定づけた。
ドラマーのテイラー・ホーキンスが加わるもパットが脱退し、3ピースで完成させた3作目。少人数かつデイヴ自宅の地下室での録音が功を奏し、リラックスして制作できたそうで、伸びやかな“Learn To Fly”など丁寧に練られた良曲揃いの一枚だ。
クリス・シフレット(ギター)が加入し、やっと編成が安定。完成していた作品をボツにして2週間で作ったという4作目。ヘッドバンギンな“One By One”、ギターの絡みとコーラスが小気味良い“Have It All”などパワフルな演奏が痛快だ。
ハードなロックとアコースティックなバラードの2方向でディスクを分けた2枚組20曲の大作。ジョシュ・オムやノラ・ジョーンズなど多彩なゲストに加えて、のちに正式メンバーとなるラミ・ジャフィーが数曲で鍵盤を演奏している。
前作で試みた2つのアプローチを融合させようと10年ぶりにギル・ノートンを召喚した6作目。ベン・フォールズを思わせる“Statues”やブライトフルな“Cheer Up, Boys (Your Make Up Is Running)”などアーシーで芳醇な演奏が聴きもの。
パットの再加入でトリプル・ギターになった影響もあってか重層的かつパンチの効いたロックを全編で鳴らした7作目。レコーディングにはアナログ機材しか使っておらず、鋭さとまろやかさを併せ持つサウンド、妥協を感じさせない演奏が素晴らしい。
前作に続きブッチ・ヴィグを迎えた8作目は、全米8都市に赴き、リック・ニールセンらその街の音楽家と作った一枚。なかでもデス・キャブ・フォー・キューティのベン・ギバードが歌う“Subterranean”は両者の〈らしさ〉が出た名曲だ。
ラミ・ジャフィーがついに正式メンバーに。グレッグ・カースティンがプロデュースした9作目は、ハード・ロックの獰猛さと多彩な実験性を両立させている。ポール・マッカートニーからジャスティン・ティンバーレイクまで客演の華やかさも楽しい。
この10作目では、“Cloudspotter”や“Love Dies Young”などディスコ~ファンクに接近した楽曲で新機軸をアピール。ドラムのくっきりとした立体感、シンセやストリングスのメロウネスを際立たせたプロダクションはカースティンの手腕か。
前年に起きたテイラー・ホーキンスとデイヴの母親であるヴァージニアの死が色濃く影を落としている11作目。引き続きカースティンが制作しているものの先進性は控えめで、ありのままの悲しみや喪失をストレートなロックに託している。 *田中亮太










