音響サンバ、ファミリア・ホイチマンのレオ・トマッシーニ(Vo)のソロ作2ND。MPBの旨味を独自の最良のカタチでアウトプットさせた音楽は全音楽ファンを唸らせる。マウリシオ・カヒーリョ(violão)、ルシアーナ・ハベーロ(cavaquinho)、クアルテート・マオガニなど実力者の参加、ショーロやインスト愛好家も納得の04年作『AMOR E CORDAS』は静と熱を帯びた名作。さらに、90年代より様々なアーティスト達との共演や作品参加も経た彼の音楽性と人柄も滲み出た作品でもあるといえよう。
MPB、アルゼンチン音響派、エクスぺリメンタル音楽、昨今の再発“フィーリン・シリーズ”など南米~前衛音楽~唄まで含み音楽を紡ぐ至宝の音楽家。
さて、本作はというと「21世紀アコースティックMPBの名作誕生」と堂々と称せる名盤だ。チェット・ベイカーと共鳴するウエストコースト・ジャズの空気とムード漂う中性的な歌声、ジョアン・ジルベルトと共鳴するボサノヴァ~叙情派サンバとソングライティングが見事マッチした香り高い作品だ。その香りをさらに味わい深くするべくカエターノ・ヴェローゾ、ぺドロ・サー、ドメニコ、ギンガ、ジョアナ・ケイロスなど実力者がズラリ参加した本作はMPB史に残る超豪華作ともいえよう。
全て自身のオリジナル曲(共作含む)であり、高い詩情と漂う匂いを共存させる極上曲群。さらに、活動も多技に渡る音響派OS RITMITASのダニー・ローランドがプロデュース。文句無し、問題無しに名盤の完成だ。
卓越した演奏と唄には、美しさと驚き、神秘と魅惑、苦悩と幸福など様々な対比や同類の感情を感じることができるが、何より本作も、レオ・トマッシーニという人物が、そして前作より積み重ねてきた彼の音楽性が、凝縮され際立った一枚。MPB史上の名作、2014年の重要作ここに極まれり。