サンバ・ジャズを甦らせたピアニスト、Mika
サンバのリズムにジャズの即興を融合させた60年代のブラジル音楽ムーブメント、サンバ・ジャズ。そのサンバ・ジャズを現代に甦らせたピアニスト、Mikaの最新アルバム『BALANCO ZONA SUL(バランソ・ゾナ・スル)/MIKA SAMBA JAZZ TRIO』が2月25日に発売される。
レコーディングは昨年の8月、リオ・デ・ジャネイロで行われた。おなじみのトリオ・メンバー、セルジオ・バローゾ(b)、ラファエル・バラータ(ds)のほか、《サマー・サンバ》で知られるブラジルを代表するギタリスト&シンガー・ソングライター、マルコス・ヴァーリもスペシャル・ゲストとして参加。今回のアルバムはマルコスのオリジナル曲、ボサノヴァのスタンダード曲、Mikaのオリジナル曲など、サンバ・ジャズだけでなくバラエティ豊かな選曲となっている。
「オリジナル曲は、どの曲も思った以上にやりたいことができて大満足。頭の中にあったものをすべて出せた気がします。《VOO LIVRE(ヴー・リヴリ)》という曲は、初めてハンググライダーをやったときに作った曲。スタジオの近くの山から飛んで、15分くらいは浮いていたかな(笑)? 空を飛びながら、鳥の目線で見た移り行くリオの風景を曲にしたんです」
マルコスが「愛撫するかのように奏でる」と絶賛したMikaのピアノ。確かにどの曲も、限りなく繊細で美しい。
「実際、私は指を鍵盤においたまま弾くので、愛撫しているように見えたのかな(笑)? サンバ・ジャズはコードもコロコロ変わるし、テクニック的にものすごく難しい。でも、ブラジル音楽はもともとリラックス音楽。だから聴いてる人がリラックスできるよう、ジャズとは奏法を変え、難しい曲もそう感じさせない心の中にスッと入りむような響きで演奏する。さりげなく弾かないと、ブラジル音楽ではないんです(笑)。だから思い通りに音の響きをコントロールできるよう、打鍵の方法をものすごく研究しました。もうひとつ、演奏するときは必ず、音の空間を意識します。音が響く奥行きや距離感、立体感、その間の空気もすべて一緒になって音楽だから。理想的な空間から少しでも音がはみ出してしまうとダメ、全体のバランスが崩れてしまう。だからいつでも的確に音を飛ばす位置をコントロールできるよう、これまた研究したんです(笑)」
潔癖なまでの音へのこだわりから生みだされるMikaの音楽。トリオでの日本ツアーも2月から行われる。是非、3人が紡ぎだす音空間に身を委ねてみたい。
LIVE INFORMATION
MIKA Samba Jazz Trio Japan Tour 2015 TOKYO
○2/27(金)19:00開演 福山芸術文化ホール リーデンローズ 小ホール
○2/28(土)18:30開演 岡山・ルネスホール
○3/1(日)15:00開演 神戸・旧グッケンハイム邸
○3/5(木)19:30開演 渋谷 JZ Brat