今月もいろいろ出ていますよ。まずはジョルジオ・モロダー&ドナ・サマーと並んでディスコ・ブームの頂点を示し、日本のディスコ文化にも多大な影響を与えた2作を。エレガントな世界的ヒット“The Hustle”を含む、ヴァン・マッコイ&ザ・ソウル・シティ・シンフォニーの75年作『Disco Baby』(Avco/ビクター)が、紙ジャケ&日本盤オリジナル帯など当時のLPの装丁を完全再現してリイシューです。

VAN McCOY & THE SOUL CITY SYMPHONY Disco Baby Avco/ビクター(1975)

 

 そして、そのマッコイがアレンジしたスタイリスティックスの75年作『Thank You Baby』(Avco/ビクター)も同趣向で復刻されました。問答無用の“Can't Give You Anything (But My Love)”に止まらない情緒豊かな名唱が楽しめます。

THE STYLISTICS Thank You Baby Avco/ビクター(1975)

 

 で、それら2品はビクターの名盤復活プロジェクト〈SOUL WALKER〉シリーズの〈アヴコ/H&L/ロウトン・コレクション〉の一環で、同コレクションではソフトーンズの73年作『The Softones』(Avco/ビクター)も久々の復刻。メラニー・フィオナがネタ使いしていた甘すぎる名曲“Hey There Lonely Girl”はここで聴けます。

THE SOFTONES The Softones Avco/ビクター(1973)

 

 ブラック・アイスの『Black Ice』も前に紹介したHDM盤とは内容が異なるアムハースト盤で登場しますが、それら以上に目玉となるのはアヴコ系列レーベルのシングルを独自編纂したコンピ『Avco Soul Embassy』(ビクター)でしょう。これは無条件でどうぞ!

VARIOUS ARTISTS Avco Soul Embassy ビクター(2015)

VA『Avco Soul Embassy』に収録されているローテーションズ“Don't Ever Hurt Me Girl”

 

 発掘モノでは、スリナム出身でオランダで活躍したというサミーの83年作『Tryin To Survive』(Galaxy Inc./Rush Hour/BBQ)が世界初CD化! ジャケから想像できるように当時のプリンスにも通じるデジタル・ファンクで、再評価されるべき好機を待ってたタイプの秘宝です。

SUMY Tryin To Survive Galaxy Inc./Rush Hour/BBQ(1983)

 

 最後に推薦しておきたいのは、名ソングライターのヴァレリー・シンプソンがシンガーとして残した71/72年作の2in1盤『Exposed/Valerie Simpson』(Caroline)です。10年ほど前に英スペクトラムから出ていた編集盤『The Collection』にボーナス曲を追加して新装した趣ですが、その時と同じ執筆者がヴァレリーの逝去を踏まえて増補したライナーなど、資料価値も高められています。

VALERIE SIMPSON Exposed / Valerie Simpson Caroline(2015)

※ドナ・サマーを特集した連載〈IN THE SHADOW OF SOUL〉第83回の記事一覧はこちら