ケヴィン・パーカーが歩んできた『Currents』までの軌跡
いまとなってはギター・バンド然としたサウンドが懐かしい初のアルバムだ。中期ビートルズを連想させながら、単なる懐古趣味では終わらない才気をアピール。ダンサブルなリズムをはじめ、『Currents』に繋がる洗練の萌芽が早くも窺える。デイヴ・フリッドマンがミックスを担当。 *山口
ダフト・パンクが手掛けたサントラのリミックス盤。ここではバンド名義で“End Of Line”を調理している。オリジナルの不穏な打ち込みビートをダイナミックな生ドラムに差し替えたり、トリッピーな鍵盤の旋律をプラスしたりと、ハード・サイケな処理が施されたケヴィン・パーカーらしい出来だ。 *保坂
NMEやRolling Stone誌の年間ベスト企画でNo.1に輝くなど、近年のサイケ・ロック・ブームを決定付けた2作目。ビートルズやELO愛を剥き出しにし、前作よりもメロディアスでポップに洗練された楽曲を披露。本作がウィッチーズら後進のバンドに与えた影響は計り知れない。 *保坂
リップスが曲ごとに豪華ゲストとコラボした一枚。『Lonerism』の録音中、テイム・インパラはスタジオに押しかけてきたウェイン・コインに直接参加を乞われたんだとか。ここでは“Children Of The Moon”にて、儚げな歌声×ヘヴィーなギターというケヴィンの得意技を披露。 *山口
南仏出身の女性シンガー・ソングライター、メロディ・ポシェットによる初作。サイケデリックな音像のなかに浮遊するウィスパー・ヴォイスと、このうえなく甘いメロディーを引き立てる肉体的なグルーヴ――プロデュース&ミックスで全面的に関わったケヴィンの手腕が光る好盤だ。 *保坂
リッケ・リーやウォッシュト・アウトらに交じって、本トリビュート盤に参加したことが、当時のテイム・インパラの勢いを物語る!? ケヴィンはリンジー・バッキンガムの実験精神が前面に出た“That's All For Everyone”(79年)をチョイス。原曲の持つ浮遊感を、インディー・サイケ感覚で見事に再現している。 *山口
活動初期からテイム・インパラを支えてきたニック・オールブルック(2013年に脱退)とジェイ・ワトソンが2008年に結成したバンドの5作目に、ケヴィンもプロデューサーとして助力。本隊に比べて男臭い音作りを特徴とし、ハード・ロックやグラム・ロックの影響も感じられる。 *山口
メロディーズ・エコー・チャンバーのバックでギターを弾いていた人物を中心とするロック・バンド。こちらの初作でもケヴィンがプロデュースを担当している。エキゾティシズム溢れる瞑想的なメロディーと、アグレッシヴなリズムの対比が何ともユニークで、一度聴いたらヤミツキに。 *保坂
ケンドリック・ラマーとテイム・インパラのマッチアップが実現したサントラ。2012年の“Feels Like We Only Go Backwards”をベースにケンラマのラップを重ねた、ビート・ジャック的なコラボではあるが、インドアな空気を湛えた現行ヒップホップとケヴィンの親和性の高さを知れたことは大きな収穫だ。 *保坂
『Hobo Rocket』の延長でファンクやヒップホップの要素を採り入れた、現時点での最新作。ニックがこのバンドに専念したことも少なからず関係しているとは思うが、それ以上に強靭なビートがテイム・インパラの別働隊というイメージを払拭している。ここでもケヴィンがミキシングなど裏方として関与。 *山口
今年を代表する大ヒットとなった本アルバムに、ケヴィンはシンガーとして、ドラマーとして半数以上の曲に関わっている。マークの独壇場といった具合で、ケヴィンらしさはあまり感じないが、AORテイストのナンバーなどで聴けるソウルフルなヴォーカルに、彼の新たな可能性を見い出したりも。 *保坂