ショーソンの四重奏で実力を示したアンサンブル・モンソロ

 アンサンブル・モンソロはパリ国立高等音楽院出身のメンバーで構成される室内楽アンサンブルである。ヴァイオリンの本田早美花(さみか)が命名者だ。

 「あるコンサートの機会があって、そこに音楽院の仲間たちを誘って参加することになりました。しかし、すぐに名前を決めなくてはいけなかったので、とっさに思いついた『モンソロ』という名前でスタートしました。モンソロは私のソロという意味ですが、良い意味で個人個人の個性を発揮しながら、アンサンブルとしても個性的でありたいと思って付けた名前です」(本田)

ENSEMBLE MONSOLO ショーソン:ピアノ四重奏曲 Op.30; マーラー:ピアノ四重奏曲 - 断章 たまゆら(2014)

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 結成当時はコントラバスを含んだ弦楽五重奏だったが、様々な編成に対応出来るようにメンバーを加えた。現在はピアノ四重奏での演奏機会が多いと言う。そして2014年12月、ショーソンのピアノ四重奏曲とマーラーのピアノ四重奏曲(断章)のカップリングのアルバムをキング・インターナショナルからリリースした。

 「2014年に日本ツアーを行っていた時、ショーソンの演奏をキング・インターナショナルの方が聴いて下さり、すぐに録音しませんか、という話に。そこでツアー期間中に録音を行いました。私たちにとってもびっくりの提案でしたが、ちょうどツアーで取り上げていた作品でもあり、スムーズに録音に入ることが出来ました」(本田)

 とても熟成された音楽、しかしフレッシュな感覚も同時にある演奏で、フランスの演奏家たちの室内楽の演奏レベルの高さを知らされる。本田も含めて、メンバーはみんなそれぞれの仕事も持ちながら、アンサンブルに参加している。チェロのジュリアン・ラジニアックリモージュ管弦楽団の首席チェロ奏者である。

 「リモージュ管は地域に根ざした活動をしており、とてもユニークな企画を実行しています。そうしたオーケストラの活動と、アンサンブル・モンソロの室内楽の活動を両立しているのが楽しい。日本を含め、様々なところで演奏出来るのも楽しいですね」とラジニアック。ピアノのエマニュエル・クリスティアンも、本田とのデュオを始め、様々な演奏家との共演を行っている。ヴィオラのシルヴァン・デュランテルドゥエ管弦楽団の首席ヴィオラ奏者を勤め、また室内楽でも盛んに演奏している。それぞれが一流の演奏家であり、室内楽奏者であり、というのがアンサンブル・モンソロの素顔なのだ。

 「日本での演奏機会ももっと増やして行きたいと思っています。伺った所では好評で、また呼びたいと言って下さる所もありますので」(本田)

 CDでモンソロを知った方は、ぜひ生で彼らの演奏に触れて欲しい。その機会はすぐ来るはずだ。

アンサンブル・モンソロによるシューベルト弦楽五重奏ハ長調D956〈I Allegro, Ma Non Troppo〉