(C)Yuki Kuroyanagai


圧倒的な存在感を示した来日公演は、アルバム以上にフィジカルで複雑だった!

 オーストラリアの4人組、ハイエイタス・カイヨーテの来日公演は、予想以上に様々な波紋を広げる鮮烈なものだった。FKAツイッグスを想わせるルックスの女性ヴォーカリスト、ネイ・パームのカリスマ性は異彩を放っていたし、ネオ・ソウルやヒップホップを通過したバンドの演奏はアルバム以上にフィジカルで複雑だった。そんな彼らにインタヴューすることができたので、ネイ・パーム(vo, g)、サイモン・ マーヴィン(key)、ぺリン・モス(ds)の3人の声をお届けしよう。まず、4人の音楽的バックグラウンドから。

 「4人とも聴いてきた音楽は違うんだ。でも、お互いが何を聴いているかは常に気にしている。例えば、ベースのポールは最近50年代の電子音楽を聴いているんだけど、そういう情報は共有していて、好きになることもあるわ」(ネイ)

 「全員が共通して好きな作品なら、ディアンジェロの『Voodoo』だね。それと、ミゲル・アトウッド・ファーガソン&カルロス・ニーニョの『Suite For Ma Dukes』。あれを全員で聴いて、『Choose Your Weapon』でミゲルに参加してもらうことになった」(サイモン)

 来日公演で際立っていたのは、ペリンの叩き出す、訛りや揺らぎを含んでいるように聴こえるビート。明らかにJ・ディラマッドリブ以降を感じさせる質感があるのだが、やはり影響はあるそうだ。

 「ヒップホップでは、Qティップファーサイドデ・ラ・ソウルがお気に入りなんだけど、これ好きだなと思う曲は、実は全部J・ディラがプロデュースしていることにある日気付いたんだ。彼は自分の音楽に対する考え方や作り方を完全に変えてくれた。彼はビートメイカーでありながら、ドラマーが本当に演奏しているかのような音楽を作るからすごい。ただ、最近は影響を受けすぎないようにあえてヒップホップには触れないようにしていて、アフリカ音楽やインド音楽を聴いているよ」(ぺリン)

 ハイエイタスの折衷的な音楽性は、ディアンジェロやケンドリック・ラマーロバート・グラスパー、更にはフライング・ロータスサンダーキャットとも共鳴しているように感じる。彼らもその意見には同意のようで、こう付け加えてくれた。

 「インターネットのおかげで、同時多発的なムーヴメントが世界中で起きていると思う。昔だったらメジャーのレーベルと契約しないと音楽が広まらなかったのが、ネットのおかげで、音楽が親しみやすく、アクセスしやすいものになった。だからこそ、私たちの音楽も普及したと思ってるわ」(ネイ)

 


★2月19日追記
ハイエイタス・カイヨーテの再来日が決定!

日時/会場:
5月22日(日) 〈GREENROOM FESTIVAL '16〉
神奈川・赤レンガ地区野外特設会場
5月23日(月) 愛知・名古屋ブルーノート
5月26日(水)、27日(木) ブルーノート東京