モノクロからピンクに進化。ジャケ写が音色を象徴し、長ったらしいタイトルが長編映画のようにドラマティックな作風を要約している。全英1位を記録したデビュー盤から3年、The 1975が〈80年代のサウンド〉をテーマに野心的かつ大胆な飛躍作を届けてくれた。スクリッティ・ポリッティからニュー・オーダー、>ポリスにヤズーにプリンスまで、80sのヴィヴィッドな部分のみを抽出。一世風靡したかつてのスタイルをモダンな感性で切り取るアプローチは、カーリー・レイ・ジェプセン『Emotion』にも通じるものだ。エレポップやファンク調での弾けるポップネスが、出世曲“Chocolate”以上の躍動感を推し進める。と同時に、前作では遠慮がちだった彼らの静寂面も大幅に表出。音響系の音使いを駆使した6分以上に及ぶ表題曲など、艶やかな装飾へのこだわりが全編で漲っている。前作のヒットがまぐれじゃなかったことを証明。あとはフロントを張るマシューのスター・パワーがどこまで女子の心を掴めるか。