【Click here for English translation of P.1 (main article)】
from モータウン to オフ・ザ・ウォール
頑固なベリー・ゴーディJrの仕切るモータウンの檻を脱し、続いてはギャンブル&ハフの後見を強いたCBS/エピックの大人たちを強行突破し、さらには歩みの揃わない兄弟とのグループ活動も脱ぎ捨てて、完全なセルフ・コントロールを獲得していったマイケル。前進するアーティストなればこそ過去よりもその先へ目を向けていくわけだが、一方で思うのは、その折々の状況下やシステムの中で生まれた作品たちもマイケルの価値を何ら下げるものではないということである。『Off The Wall』がエポックメイキングなのは大前提として、少年から青年に歩を進めていた季節ならではの彼(ら)の輝きもこの機会に聴いてみてほしい。ジャクソン5のキッズ・スターがいきなりワープして『Off The Wall』を生み出したわけではないのだから。

ジャクソンズ名義の3作目にして、グループがイニシアティヴを握って制作された初めての作品。軽快なブギーに乗せて楽しげなグルーヴを発散する全体の雰囲気は、グレッグ・フィリンゲインズの援護もあって『Off The Wall』の前段階と呼ぶに相応しい出来。トム・トム84らの関与に伴うEW&Fっぽさも当然アリ。

フレディ・ペレンがジャクソン5の延長線上にあるノリで仕立てた、メンフィスの兄弟姉妹グループのヒット作。ここから巣立ったリオン・シルヴァーズはソーラーでシャラマーらをスターに押し上げるが、そのシャラマーのジェフリー・ダニエルはマイケルにムーンウォークを伝授する……という繋がりも。強引か。

モータウンに残った三兄ジャーメインが『Off The Wall』に触発されて仕上げた力作。スティーヴィー・ワンダーがプロデュースで大きく関わったなかでも、ファンキーに粘る表題曲はR&Bチャートを制覇して弟に一矢報いた。とはいえ、グレッグ・フィリンゲインズら演奏陣の人脈がかぶっているのも興味深い。

R&Bチャートで念願の1位に輝いた、ジャクソンズ最後の傑作。クインシーからの学びを活かしたマイケルの舵取りはもちろん、弟の成功に兄たちも闘志を燃やしたのか、5人それぞれの奮闘が見えるバランスの良い内容だ。“Can You Feel It”など視野を広げた作りは『Off The Wall』から『Thriller』への橋渡しのよう。