バッティストーニとの息がピタリと合った反田恭平のラフマニノフ
2014年よりモスクワ音楽院のミハイル・ヴォスクレセンスキーに師事し、翌年5月にはイタリアの協奏曲1曲で勝負するチッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクールの古典派部門で優勝の栄冠に輝いたピアノ界の新星、反田恭平がラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、《パガニーニの主題による狂詩曲》をリリース。いまもっとも勢いのある指揮者のひとり、アンドレア・バッティストーニとの共演で、オーケストラはRAI国立交響楽団と東京フィル。両曲とも、ロシアで研鑽を積んでいる反田恭平の真価が発揮されている。
「バッティストーニはソリストを非常に大切にし、自由に弾かせてくれる。今回の録音は彼と音楽性が見事に一致し、目指している方向性も同じだったため、とても自由に弾くことができました。オーケストラの各楽器との対話も密度濃く、新しい音色を発見することもでき、バッティストーニに感謝しています」
留学した当初は練習場所の確保に困難を極めたり、日常生活に不便を感じたが、次第に強くなった。一方、ロシア作品が生まれた環境を身近に感じ、作品への共感が生まれ、より深く作品を理解できるようになった。
「ロシア作品へのとらえ方が厳しくなりましたね。ラフマニノフの協奏曲第2番は、作曲家が大変な思いをして書き上げた作品。そういう内面的な面を深く理解できるようになったと思います」
反田恭平は演奏も雄弁な語り口をもち、聴き手の心をとらえる個性を備えているが、話術もすこぶる魅力的。ひとつひとつの話がとてもユニークである。
「バッティストーニは今後の人生のなかで、もうこんなにいい指揮者には巡り会えないのではないかと思うくらいすばらしい人。振り方がすごくきれいで、何をしたいかがすぐにわかる。ぼくは新たな自分を見つけることができ、ひとつ階段を上った感じです」
ピアノ協奏曲第2番は、RAI国立交響楽団とともにトリノでセッション録音を行った。
「オーケストラのメンバーもすごく明るくフランクな人ばかりで、気軽に話しかけてくれた。イタリアはコンクールといい録音といい、思い出深い土地です」
型破りのナイスガイといった雰囲気を感じさせる反田恭平。デビュー以来、人気が沸騰。熱く深く劇的なラフマニノフの新譜は、より多くの人を引き付けるに違いない。コンチェルトがたまらなく好き、という彼のオーケストラとのコミュニケーションに注目したい。
「コンチェルトはホント、楽しいですよ。ロシアに留学してチャイコフスキー、ラフマニノフ、プロコフィエフの協奏曲の真意にかなり近づいた気がします」
全身全霊を賭けた熱きラフマニノフが心に響く。
LIVE INFORMATION
佐渡裕指揮 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 特別演奏会2017
曲目:チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番/チャイコフスキー:交響曲 第5番
○2017年4/14(金)府中の森芸術 どりーむホール ○15(土)サンシティ越谷大ホール ○16(日)静岡市清水文化会館マリナート ○17(月)刈谷市総合文化センター ○18(火)バロー文化ホール ○21(金)キッセイ文化ホール ○22(土)コラニー文化ホール ○23(日)藤沢市民会館 ○26(水)須賀川市文化センター ○27(木)秋田県民会館 ○28(金)リンクステーションホール青森
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